米国財団法人野口医学研究所

野口エッセイコンテスト
結果発表

野口エッセイコンテストにご応募いただいた作品の中から、厳正な審査の結果、受賞作品が決定しました。
たくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございました。
今回皆さまの熱意を受け、その夢を応援したいというメッセージを込めて新たに奨励賞を設置させて頂きました。
少しでも将来の夢、目標を諦めずに追い続けていただきたいと願っています。

入賞作品

大賞:該当者なし 優秀賞:3名 特別賞:11名

優秀賞野口エッセイコンテスト大賞

夢のつづき

川口 莉奈
東京医科歯科大学 医学部 保健衛生学科 検査技術学専攻 4年 東京医科歯科大学 医学部
保健衛生学科 検査技術学専攻 4年

今までの10年とこれからの10年

今までの10年と
これからの10年

小島 優貴
関西医科大学 医学部 医学科 5年

生きているということ

森 陽愛子
筑波大学 医学群 医学類 5年

特別賞野口エッセイコンテスト大賞

あれから10年、そして10年

大浦 葉子
福島県立医科大学 医学部 医学科 4年

凍った世界に
イノベーションを

大島 鴻太
慶應義塾大学 医学部 医学科 4年

新型コロナウィルスを機に
世界中に医療を

面 美来
金沢医科大学 医学部 医学科 3年

「苦手だらけ」の
わたしだからこそ

竹下 実佑
鹿児島大学 医学部 保健学科 看護学専攻 3年

祖父の教えは
「イショクドウゲン」

中原 愛水
鹿児島大学 医学部 医学科 2年

地域に根差し、
心に寄り添える医師に

服部 愛咲
自治医科大学 医学部 医学科 1年

世界を平和にするために

福室 自子
杏林大学 医学部 医学科 4年

夢のスタートライン

松崎 秀信
群馬大学 医学部 医学科 5年

「ぬちぐすい」となる街へ

松本 一希
京都大学 医学部 医学科 6年

伝えたいこと

矢部 凛香
女子栄養大学 栄養学部 実践栄養学科 1年

架け橋になりたい

横山 果南
東京大学 医学部 医学科 4年

米国財団法人 評議員会 会長からのコメント

米国財団法人 評議員会
会長からのコメント

名前

佐藤 隆美

トーマス・ジェファーソン大学 腫瘍内科 教授
米国財団法人 野口医学研究所 評議員会 会長
 このエッセイコンテストを支援するために野口医学研究所がクラウドファンディングを立ち上げた時に、寄付していただいた方へのお礼として配布した野口英世のマスクケースに「至誠」という言葉が書かれています。また「私は、少しも恐れるところがない。私はこの世界に、何事かをなさんがために生まれてきたのだ」という野口博士の遺訓が書かれています。「至誠」とは「この上なく誠実な心、まごころ」であり、まさに医療に携わる者たちが原点として持つべき心構えだと思います。今回のエッセイコンテストに応募された多くの方々が、それぞれ表現や経験は違うものの、この医療の原点を真摯に受け止め、それに対して自分に何ができるかということをとことん突き詰めてエッセイにまとめておられたことに対し、そのエッセイを読む立場の者としても、心が洗われる思いがいたしました。

 皆様方には、「―夢― 10年後、あなたが成し遂げていること」というテーマで書かれたそれぞれの思いを、タイムカプセルにしまっていただき、今後は、それぞれの個人体験を社会貢献として昇華還元していく努力を続けていかれることを心から願っています。そして、10年後に開封された「2020年、今の思い」と10年後のそれぞれの「今の思い」の接点を探ることで、その後10年の「夢」を描いていただければと思います。

 我々医療人は、自分の力が及ばず亡くなっていかれる患者さんたちへの思いに打ちのめされながら、その亡くなられた患者さんの家族や病気が快方に向かっている患者さんからの感謝の言葉に支えられて、より良い医療の実現を求めて毎日を戦っています。皆様方には、どのような状況に置かれても、「至誠」「利他」の原則を忘れずに、自分の信じる道を進んでいかれることを心より願っております。

 最後になりましたが、このエッセイコンテストを実施するにあたり、野口医学研究所のビジネス部門から、クラウドファンディングで得られた寄付金の2倍以上の財政的支援をいただいたことを皆様にお知らせするとともに、米国財団法人野口医学研究所評議員会を代表してお礼を申し上げたいと思います。

審査員からのコメント

名前

浅野 嘉久

米国財団法人 野口医学研究所 創立者・名誉理事
株式会社 野口医学研究所 取締役・相談役
 以下、エッセイを読ませて頂き、私自身の人生にも照らし、感じたままの感想を述べます。
 先ずは、129篇に及ぶ作品の全てが読む者に感動を与える物でした。中には読み進む内に胸が詰まり、涙が溢れるのを止められない真摯な佳作にも出会う事が出来ました。唯、正直な総括をさせて頂くなら、私の受けた教育(人生)で培った、所謂、昭和年代の国語と比べ、相対的に平仮名の多さが気に掛かります。例えば、いく、くる、はぐくむという表現は、昭和の私ならば「行く」「来る」「育む」としか書けません。加えて、起承転結はしっかり表現出来ているのに、全体的に少し残念に思うことが何点かありました。

  1. ① て、に、を、は、が一つのパラグラフの中で繰り返し遣われている。
  2. ② 文章の主語が主観的(第一人称)になったり、客観的(第二人称、第三人称)になったりと突然変わってしまう。
  3. ③ 句読点の置き方に工夫が必要。(例えば文中・文末は「、」や「。」とせずに、「…、」や「…。」とした方が読む人へ与える印象は遥かに強くなります。)
  4. ④ Abbreviation(専門用語の省略語)の解説がない。(読む人のことを考えて、専門用語は簡単な解説を加えなくてはなりません。)

 とまれ、私から筆者諸氏への尊敬と感謝を込めた感想を言うならば、
 [素晴らしい人たちの想いに触れ、「野口医学研究所」の一員として、向後、皆さんと一緒に今から未来へと、お互いに共鳴と協力をし合いながら進んで行きたい…]、この大いなる期待を抱けた事です。
 本当に、ありがとうございました……。
佐野潔

佐野 潔

高知大学 医学部 家庭医療学講座 特任教授
ミシガン大学 医学部 家庭医学科 臨床助教授
米国財団法人 野口医学研究所 理事長
 今回のエッセイコンテストには129名の応募がありましたが、全てを読み終えたときには、コロナ禍で経済的に困っておられる方々の悔しい思いが、ひしひしと伝わってきました。そしてその悔しさの中に、次の10年に向けて医療者として頑張ってやろうという若いエネルギーが煮えたぎっているように感じます。10年前の医師を目指そうと思ったきっかけは人それぞれに興味深いものがありますが、皆さんは着実にその目指すところに向けてまっしぐらに歩んでいると思います。今回は皆様に何らかの形で援助をしたく思い、奨励賞を設けることと致しました。少ないかもしれませんが、これを資金に次の10年に向かって邁進してください。皆様に野口医学研究所一同よりエールを送ります。また、当財団は海外を目指して勉強されている方々を援助するために、様々なセミナー、学生・エクスターン派遣プログラムなど行っております。今回のコロナ規制が緩和された暁には、活動をまた再開いたしますので、是非とも私たちと共々、日本の医療を良くするために頑張っていこうではありませんか。
名前

奈良 信雄

一般社団法人 日本医学教育評価機構 常勤理事
大学改革支援・学位授与機構 特任教授
特定非営利活動法人(NPO)野口医学研究所 理事長
 2019年12月に中国武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症COVID-19が世界的に大流行している。患者はいまだに増加の一途をたどり、2021年3月6日現在、世界で約1億1500万人が感染し、約256万人が死亡している。わが国でも、2020年1月に第1例の発症以来、感染者438,999人、死者8,237万人の大惨事になっている。
 人類は有史以来、14世紀にヨーロッパを中心に大流行して約2,000万~3,000万人もが犠牲になったペスト、第一次世界大戦中の1918~1919年に大流行して4,000万人以上もの命を奪ったスペイン風邪など、数々の困難な状況と闘い、克服してきた。危機に直面するたび、医療従事者の献身的な努力が人類を救ってきた。
 COVID-19の影響で経済状況が低迷し、学生諸君の学業に影響が出ている。野口医学研究所では、近未来の医療を支え、empathyの心を持って人類の幸福に貢献できる人材を支援すべく、エッセイコンテストを行うことになった。予想をはるかに上回る129名もの応募があり、いずれも医療を実践する情熱と意気込みがしっかりと表現されていた。苦難の中でも医療人を目指して学業に励む姿勢には感銘し、かつ医療人を養成する立場にある者として大いに勇気づけられた。
 社会は君たちを待っている。エッセイで書かれた熱意を忘れずに、10年、20年後も社会に貢献できる医療人に育っていただきたい。
名前

北村 聖

公益社団法人 地域医療振興協会 地域医療研究所 シニアアドバイザー
東京大学 名誉教授
米国財団法人 野口医学研究所 理事
 多くの皆さんに、夢を語っていただきました。多くの応募をいただき感謝します。医療の道を志す皆さんは多くの夢を持っていますね。
 ある方は、しっかりとした将来の自分の姿を描いていて、それに向かって着実な歩みを始めていました。夢を語る浮き浮きした気持ちや、挫けそうになる自分を励ます姿や、さらに支援してくれる家族や仲間、夢を阻まんと立ちはだかる壁など、読むものをハラハラ・ドキドキさせる夢がありました。されど、具体的な夢を持つものに対しては「そんなに狭く考えなくても、君たちには無限の可能性があるのだからもっと広く未来を見つめたらどうだい」と語りかけていました。
 また、まだ自分の夢がはっきりせず、何でもいいから人のために働きたいなど、まだまだ自分探しの段階の夢もありました。自分にできることはなんだろうと悩んでいる姿も美しいものでした。されど、そのような段階のものに対しては「少年老い易く学成り難しというではないか、決して時間は無限にあるわけでないので、悩んでばかりいないで具体的に一歩を歩みだしたらどうだい」と語りかけていました。
 いずれにせよ、若いということ、可能性が無限にあるということに羨望すると同時に、多くの感動をいただきました。本当に、感動をありがとう!そして、このコンテストを企画・実施していただいた財団の皆さんに、感謝・感謝です。
名前

真野 俊樹

中央大学大学院 戦略経営研究科 教授
多摩大学大学院 特任教授
米国財団法人 野口医学研究所 参与会 参与
 私は医師として少し変わったキャリアである。現在私は実臨床にはあまり深く関わっていない。しかし、医師としての心は忘れないようにしているつもりである。それが、医師を志し、医学部を卒業し、臨床研修を行い、専門のトレーニングを受け、かなりの期間を医師として勤務してきた証だと考えているからだ。
 正直に言うと、今回129名の応募があり、最初はこの評価の仕事を引き受けたことを多少後悔した。あまりに枚数が多かったからだ。しかし何枚かと読むうちに気持ちは一変した。候補者の医学や医療に対する真摯な気持ちが、月並みな言い方ではあるが、あまりに感動的であったので休日の二日をかけて一気に読み上げた。
 おそらく評価を一番早く野口財団に返送したのは私ではなかろうか。
 そんなに齢を取っているというわけではないが、やはり学生さんたちの真摯な気持ちには心を打たれるものがある。
 来年度もぜひこういった取り組みを継続していただきたいと野口財団にはお願いしたい。また、巷では医療界や医師に関する批判が多く出るようになったが、このホームページを少しでも多くの人が読まれ、医師を志している人たちの多くはこのような純粋な気持ちを持っていることをが少しでも伝われば幸いです。
名前

片岡 仁美

岡山大学病院ダイバーシティー推進センター センター長・教授
 この度は野口エッセイコンテストの審査員としてエッセイを拝読する機会を頂いたことをまず御礼を述べたいと思います。そして、このような機会に素晴らしいエッセイを応募いただいた応募者の方に感謝したいと思います。
 まず、COVID-19による影響を様々な形で受けながらも、前を向き、自らの夢に向かって情熱を持ち、努力を重ねている姿に感銘を受けました。夢の形が明確でそれに向かって邁進している方も、また、まだ夢の形はおぼろげであっても、自分自身を見つめ、自らをどのように活かし社会に貢献していくかを真剣に考えている方も、どの方も真っ直ぐな思いが伝わってくる作品ばかりでした。学年によっても、おかれた環境や背景によっても今の立ち位置は自ずと変わってくるため、表現型は異なると思いましたが、ありきたりではない、自分の言葉で、また置かれた場所で未来に向かって進む強い意志を示して頂いたことに胸が熱くなりました。
 「私たちは時代の子であり、どの時代に生きるかということは変えられないが、この時代に生きている意味があるはずだ」という内容の言葉を尊敬する先生からお聞きしたことがあり心に留めています。COVID-19の影響もあってか、広く社会全体の課題に取り組む視点や国を超えた視野を持つ方も多く、大変頼もしく感じました。一方で、自身を深く内省し、自分にしか果たせない役割について洞察する方もおられ、いずれも素晴らしい視点だと感じました。これからこの時代において医療人となる意味を考えながらそれぞれの大切な未来に向かって一歩ずつ進んでいただけたらと思います。