ハワイでの研修を通して医師として人間として成長することができました

私はハワイ大学関連病院であるKuakini Medical Centerの内科で約3週間のエクスターンシップに参加させていただきました。今回は3年目のレジデント、1年目のレジデント、ハワイ大学の医学部3年生が所属するチームでエクスターンシップに参加させていただきました。毎朝5時30分頃から1年目のレジデントと一緒に夜勤のレジデントから引き継ぎを受けた上で電子カルテを確認し、患者のバイタルサインや採血データなどを確認しました。後で症例プレゼンテーションをすることを意識しながら、プロブレムリストの整理などはこの時点で済ませておきました。その後、6時半頃からチーム全員でプレラウンドを行いました。問診や診察を行うことはできませんが、他のチームメンバーが質問している内容や診察している所見などはとても勉強になると同時に指導医に的確に伝える必要があるため、注意して回診に参加していました。プレラウンドの後は、チームで患者の精査と治療の方針について打ち合わせを行った上で、指導医へプレゼンテーションを行いました。自分で実際に声に出してプレゼンテーションを行いフィードバックをいただくことは大きな学びとなり、レジデンシー開始までしっかりと準備を続けていきたいと思いました。
英語に関しては日本の医療現場に特有の表現があるのと同様、米国の医療現場でもよく使う言い回しがあるため、それらをできるだけ吸収するようにしていました。以下に具体例を示します。
| 日本での言い方 | 米国の臨床現場で使っていた表現 | 例文 |
| ノルアド | Levo (norepinephrine) | She’s on levo at 0.05. |
| ガンツ | Swan (Swan-Ganz catheter) | He has a Swan in place. |
| 黄色ブドウ球菌迅速検査 | MRSA nares (MRSA nasal swab) | MRSA nares was negative. |
| ジギタリス | Dig (digoxin) | She’s on dig. |
| トライエージ | U-tox (urine toxicology) | U-tox was positive for ×××. |
| (整形外科)デバイス | hardware | He has spinal hardware from prior fusion. |
| ハートモニター | Tele (telemetry) | She’s on Tele. |
診療内容に関しては、日本と比べて併存疾患が多く、それぞれの重症度が高いことから症例マネージメントの難易度はかなり高いと感じました。プロブレムを漏れなく拾うことが求められるため、一人の患者あたりプロブレムが10個程度あることもありました。また、他のカルテシステムからも既往歴や受診歴などの情報を統合してストーリー化する能力が必要とされると実感しました。さらに、平均在院日数も日本と比較して短いため、治療や入退院の調整を同時進行で手際良く進めていく必要があると感じました。3年目のレジデントのリーダーシップと、1年目のレジデント・医学生のフォロワーシップによってこうした診療がスムーズに進んでおり、チームとしてのレベルの高さに刺激を受けました。
一方で、多忙な業務の中でもレジデントや医学生は表面的なコミュニケーションではなく、思いやりの心を忘れずに一人一人の患者と人間的な関係性を築いていました。レジデントの先生は心肺停止で救急搬送された患者の家族に説明する時も物怖じせず、今の状況を明確に説明し患者家族の精神的な支えになっていました。その時、家族が見せた混乱と不安の中に安堵が見て取れる表情が強く印象に残りました。また医学生は入院した高齢患者を自分の祖父や祖母のように温かく声かけしていました。
ハワイ大学内科レジデンシープログラムの研修医の雰囲気に関しては、指導医の先生方が非常にフレンドリーで接しやすく、とても働きやすそうだと感じました。レジデントや医学生もとても協調性が高い人が集まっていて、違うチームのメンバーにもお互い声を掛け合いながら楽しそうに働く姿が印象的でした。レジデントや医学生の中には、親戚が日本にいる、日本で病院の見学をしたことがある、日本に旅行で訪れたことがあるなど、日本と関わりがある人も沢山いて、午後の隙間時間にお菓子をシェアし合いながら雑談をするのがとても楽しかったです。またハワイ大学の医学生から聞いた話ではローテーションでKauai島に行ったり、午前中にプライマリケアクリニックで診療した後で午後に産婦人科クリニックで診療を行うために移動したりなど実践的なトレーニングを積んでいる様子で、とても刺激を受けました。
研修の最後の一週間はTokeshi先生のクリニックで家庭医療の研修を受けました。先生が一人一人の患者や家族と人間的な関係性を築いておられる姿を見て、自分もTokeshi先生のように患者に寄り添う医療者として成長し続けたいと強く感じました。また、先生は全ての患者に毎回決まった型で身体所見を取ることの重要性を実際の診療の中で体現されていました。さらに医学のみならず、医学史、日本史、生物学などの幅広い知識を基にしたお話から知的好奇心が刺激され、医学教育者を目指す者として複雑な内容を聞き手が興味を持ってわかりやすく説明できるように学び続けたいと思いました。
最後になりましたが、今回のエクスターンシップでお世話になった、Director of Medical EducationのJodi Kagihara先生、チーフレジデントのNicole Chong先生と研修医ならびに医学生の皆様に、心より感謝申し上げます。また、ご指導・ご助言をくださったJinichi Tokeshi先生、Kenneth Sumida先生、Scott Kuwada先生、Masayuki Nogi先生、そしてすべての指導医の先生方にも深く感謝いたします。さらに、今回のオブザーバーシップの前からご相談に乗っていただいたJunji Machi先生、Emi Saegusa-Beecroft先生、そしてローテーションの調整をしてくださった野口医学研究所のKakehashi Noriko様、ハワイ大学のPaula Uchima様、Debora Rios様に厚く御礼申し上げます。加えて、滞在中に温かく接してくれたKazushige先生、Kameron先生、Darcyさんにも感謝申し上げます。最後に、どんな時でも自分の夢を変わらず応援し続けてくれている沖縄県立中部病院の指導医の先生方、常に変わらぬ愛と支えを与えてくれる家族に、心より感謝いたします。
Tokeshi先生のクリニックにて
ハワイで活躍されているレジデントのKazushige先生、Shun先生と
”2025 Physician Career pathway”というワークショップにお誘いいただき、The Queen's Medical Centerでローテーションしているレジデントの先生とも交流することができました