米国財団法人野口医学研究所

UHでの実習レポート

学生畑幸一

2015年3月ハワイ大学

今回、201538日から13日までUniversity of Hawaiiの医学部John. A. Burns school of medicineにおいて、Clinical reasoning workshopに参加させていただきました。参加者は私を含め24人で、内22人が日本人、残り2人が韓国人でした。

私がワークショップに参加しようと考えた理由は、3つあります。1つ目は、アメリカの医学教育を体験したいというものです。その体験を通して、自分の力を伸ばすと同時に自分の持つ医学学習の方法を増やしたいと考えました。2つ目は、アメリカの医療を見たいというものです。世界の医療制度と実践をこの目で見ることで、日本の医療を客観的に見つめ、長短を捉えられるようになりたいと考えました。3つ目は、異なる文化を見てみたいという好奇心でした。

ワークショップの内容は、大きく講義形式と実践形式に分けることができます。講義形式では、問診、身体診察、症例報告、禁煙指導、bad newsの伝え方を学びました。実践形式では、シミュレーション機器を用いたACLS、気管支鏡、腹腔鏡の練習と模擬患者による医療面接の練習、そして、triple jumpと呼ばれるPBL形式の臨床推論の学習を行いました。

講義形式と実践形式がバランスよく配分されていたので、学んだ知識を実践の中で引き出し、自分ができるようになったことや、まだわかっていないことが明らかになりやすいと感じました。

講義形式はただ一方的に講師が話すだけでなく、学生に意見を求めたり、ペアになってロールプレイをさせたりしながら進められたので、学びやすかったです。学ぶ内容自体は、どれも基本的なもので、日本で学ぶものとそれほど違いはありませんでしたが、日本での授業と違い、知識を学ぶことと使うことがつながりやすいように感じました。方法としては、ロールプレイが、知識を引き出し使う練習になり良い方法だと思いました。

実戦形式で学んだもので特によかったのは、ACLS、医療面接、triple jumpでした。ACLSは、グループで救急患者のファーストタッチから治療まで責任を持って行うもので、そのようなロールプレイをあまり経験していない私は思うように対応できませんでした。知識を単に記憶として学ぶだけでなく、技術へとアウトプットできる形で学んでいくことが必要だと痛感しました。それと同時に、患者さんを助けるために知識を使い状況に対応する、このようなトレーニングは非常に挑戦し甲斐があり、楽しいものに思いました。

模擬患者による医療面接は、日本で4年次に受けたOSCEに身体診察を加えたもので、それを英語で行うのでさらに負荷がかかり、なかなかやりがいのある体験でした。希望者はビデオで撮影し、みんなの前で批評していただけるということだったので、せっかくの機会を生かし、撮影してもらうことにしました。それにより、貴重なフィードバックも得られ、記憶にも焼き付き、また何とはなしに自信もつき、志願して本当に良かったと思いました。

triple jumpは、順番に計3つの症例を与えられ、グループで問診、身体所見、検査所見を明らかにしながら、鑑別を行っていくというものでした。問診、身体診察、検査が一連となって、鑑別が絞られていくことを実感でき、またグループで意見を出し合うことで仲間を意識することもでき、非常に楽しく勉強になる時間でした。

今回の実習の思いがけない収穫は、実習を通して知りあった友人たちでした。みな非常に楽しく、気のいい人柄の持ち主たちで、空いた時間に一緒に様々な活動をし、親交を深めることができました。特に、ルームシェアをした3人とは、短期間にもかかわらず長く住んだ寮の仲間のように親しくなることができました。

今回の実習を通して、目的であったアメリカの医学教育を見ること、文化に触れることができました。そして、本来の目的にはありませんでしたが、良き先生方に出会い、良き友に出会い、親睦を深めることができたことが、私にとって何より価値あるものの一つでした。この経験を糧に、これからも世界の医療を学び、日本でよい医療を行える医師になるために頑張っていきたいと思います。

最後になりましたが、奨学金によりこのような貴重な機会を与えてくださった野口医学研究所にこの場をお借りして御礼申し上げます。また、University of HawaiiKori-Jo Kochiさんや先生方、そして仲良くしてくれた参加者のみんなにも、心から感謝しています。これからも初心忘れず精進いたしますので、よろしくお願いいたします。