米国財団法人野口医学研究所

UHでの実習レポート

学生小野亮平

2015年3月ハワイ大学

2015年3月9日〜3月14日までの5日間、米国財団法人野口医学研究所のご支援のもと、ハワイ大学John A. Burns School of MedicineにおいてClinical Reasoning Workshopへ参加させて頂きました。私自身はこれまでに自大学の留学プログラムを通じて短期で何度か海外留学させて頂く機会がありましたが、全国各地の大学との交流を持つ機会はあまり多くはありませんでした。今回、これまでの留学経験を通じてさらにアメリカの医療を知りたいと思っていたことに加え、英語能力・医学知識の向上、ひいては交友関係を広げたいという思いもあり、野口医学研究所を通じて応募させて頂きました。

今回のワークショップには全国各地の大学から22名、韓国から2名、計24名の医学生が参加していました。学年は3年生〜5年生までと様々で、特に韓国の学生は4年制大学を出た後に医学部で4年間学ぶ (大学によっては日本と同様の6年制医科大学もある)そうで、現在医学部3年(日本における5年生にあたる)でした。ワークショップの内容としては、息切れ・胸痛に関するレクチャーや身体診察、実際のSP(Simulated Patient: 模擬患者)さんに対する医療面接や禁煙指導、シミュレーターによる救急対応や手技、実際にハワイ大学で行われているPBLのケースディスカッションなどを行いました。

今回のこれら実習の中でとりわけ貴重な体験であったのが、自分の医療面接に対してフィードバックを頂けたことです。医療面接では、SPさんに対して10分間問診と身体診察を行い、その様子をビデオで録画しました。医療面接は全員行いましたが、参加者の中の2名に対して皆の前で録画したビデオを見ながらDr. Muraiよりフィードバックしてもらえるということで、せっかくの機会であることから立候補しました。実際にビデオを見返して見ると、時間配分や言葉の言い回しなどを客観的に見て気付く点も多く、またDr. Muraiから、このフレーズや質問は良かったとか、このように改善したら更に良くなるなどのアドバイスを頂けて、自分の強みやweak pointも把握することができたのは大きな収穫でした。

ケースディスカッションも印象に残ったプログラムの一つであります。今回はグループ毎に分かれて、3症例を扱いました。先生が症例を提示し、最初は来院に至った経緯までを説明してそれに対して鑑別診断を挙げます。次に鑑別が出そろって来たところで問診にて聞きたいことを聞いていき、それに対して先生が答えていきます。最後に絞られた鑑別診断に対して有用な身体診察、検査値、画像所見をオーダーし、その結果から最終的に診断するというものでした。症例自体は、典型例であったり、基本的すぎると感じる部分も多かったですが、その中でも鑑別診断をできる限り挙げ、病態機序まで掘り下げて英語で議論することができ、ディスカッションのレベルとしては高かったかと思います。PBLの目的自体は、その答えを当てるゲームではなく、むしろその答えに至るプロセスやなぜそれが答えになり得るのかを根拠を見つけて考える過程にあるのだと再認識しました。

プログラムの中で、昼休みの時間で現地の医学生と交流する機会もありました。5人のハワイ大学医学部4年生が私たちのために時間を確保して、アメリカの医療やマッチング制度、自身の進路、ハワイ大学の特徴等をお話して下さりました。彼ら彼女らは1週間後にマッチングのレジデンシープログラム発表を控えており、少し緊張している面影も見受けられました。

そして今回のワークショップを通じて得た何よりも貴重な財産は、プログラムに参加した全国、そして韓国からの医学生と知り合えたことです。自分が今回応募しようと思ったきっかけと同様に、海外医療に興味があり集まった人が多く、同志と夢を語り、刺激をもらえた事はこの上ない財産で、生涯を通じて自身の医師人生の糧になると切に思います。

最後になりますが、ご支援頂きました野口医学研究所の皆様、ハワイ大学で私たちの面倒を見て下さったDr. Murai, Dr. Omori, Dr. Horio, Dr. Suzuki, Dr. Sheri, Ms. Kochi、そして今回参加した皆さんに、この場をお借りして感謝申し上げます。本当にありがとうございました。