米国財団法人野口医学研究所

ハワイ大学PBLワークショップ 研修レポート

学生松井沙友里

2014年8月ハワイ大学

84日より4日間、ハワイ大学にて行われたPBLワークショップに参加いたしました。ハリケーンの影響で1日半プログラムが短くなってしまいましたが、実り多き実習となりました。プログラムに参加した理由、ワークショップにて得たもの、批判的意見の3点について、以下に述べます。

 

プログラムの参加理由

今回ワークショップへの参加を決意した理由は、海外留学への憧れがあるものの、将来の仕事と家庭の両立、自己の能力を考慮すると、ビジョンが見えなかったため、短期研修を通して、海外留学へのイメージをつかみたいと考えたからです。病院での実習はありませんが、医療英語に触れ、また現地の学生とのコミュニケーションをはかることで、少しでもビジョンが見えればと思い参加しました。

 

ワークショップにて得たもの

私は、ワークショップにて得たものは大きく分けて3つあると考えております。まず一つ目は、同じ目標に向かって取り組むよき仲間です。野口アナムライより一緒に参加した参加者はもちろん、全国から医学生が集まっています。各々がもつ海外留学へのビジョンを共有することにより、自己の考えがさらに深まり、自信とモチベーションにつながります。それだけでなく、ワークショップのメインであるPBLでのディスカッションにても、異なる環境で学習してきた仲間との討論は新たな考え方や視点をみることができ、非常に面白かったです。ワークショップ終了後も連絡をとりあっており、今後医療界にて働くにあたり、よき仲間をもつことができたことが、今回のワークショップの最大の財産だと考えております。

二つ目は、医学ならびに語学へのモチベーションです。大学5年生になり、臨床現場にて実習がスタートしたことにより、医学へのモチベーションはあがりつつありますが、実習外で自習の時間を設けたり、Dutyではない語学の学習を行ったりすることは、気持ちがあっても、行動に移すことはなかなか難しいところがあります。PBLでは、実際の医療現場を想定して、ハワイ大学の学生の手引きのもと、6人一組となってディスカッションを行い、臨床推論を行っていきます。その後、疑問点の抽出と、各自のリサーチによる解決、チームでの共有を行います。ディスカッションはすべて英語で行われます。そのため、まずPBLまでに基本的な医療英単語の習得が必要です。そして、PBLでは自分で必要とされている医学知識を把握し、解決する必要があります。今回のワークショップを通じて、自己の医学知識、語学能力を把握し、目標を設定し取り組むモチベーションを得ることができました。この経験を、今後の学習に活かしていこうと思います。

三つ目は、医療面接、注射実習等貴重な経験ができたことです。3日目に医療面接、4日目に注射実習が組まれています。医療面接について述べます。日本にて、英語にて医療面接を行う機会はほぼなく、実際に行ったことは非常に貴重な経験であったと思います。また、今回の医療面接のよい点は、1,2日目で学んだ診察の手技ならびにPBLを通じて学んだ知識を活かせるよう構成されていた点だと思います。いかなる学習にもinputoutputが大切です。初めての英語での医療面接はなかなかうまくいきませんでしたが、最終的に確実に自己の力となったと感じます。

 

批判的意見

ワークショップにて、残念だった点は1点あります。それは、交換留学生との再会目的だけで参加している学生が多数みられたことです。ハワイ大学は、日本各地の大学と提携をし、交換留学を行っているようです。ワークショップは、その交換留学にて日本に来た学生がボランティアで参加していることで成り立っています。そのため、以前に交流のある日本人学生とハワイ大学の学生の結びつきが強く、その他の学生がハワイ大学の学生とワークショップ外でコンタクトをとることは可能ではあっても、難しい状況でした。それだけでなく、ワークショップを再会目的ととっている学生もおり、PBLにてディスカッションに参加しない学生や、ハワイ大学の学生の中には、チューターの立場でありながら、ディスカッションを途中で遮り、昼食へ促した学生もいると聞きました。先ほど述べたように、全員が全員ではありませんが、そのような学生が多数いることにより、ワークショップ自体の雰囲気も少々だれていたのは残念だったと感じます。

 

さいごに

以上記したとおり、今回のワークショップは自分にとって大きな一歩となりました。海外留学を諦めつつあった自分ですが、自己の能力を知り、大切な仲間を得たことで、海外留学への意志とビジョンをもつことができました。今回、ワークショップが短くなってしまったこと、現地の学生とのコミュニケーションが満足にとれなかったことゆえに、不完全燃焼な部分があるのは事実ですが、逆にそれをばねに、次の機会に活かせればと思います。可能であれば、学生のうちに、病院での実習に参加し、イメージだけでなく現実として海外留学のビジョンをもつことができればと考えております。

最後になりましたが、このような貴重な機会を設けてくださった野口医学研究所の皆様、コーディネーターの皆様、ハワイ大学の先生ならびに学生の皆様に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。