米国財団法人野口医学研究所

Thomas Jefferson University Hospital Internal Medicine Externship (2018/6/4-16)

東京ベイ浦安・市川医療センター上山紘生

2018年6月米国トーマス・ジェファーソン大学

この度私はPennsylvania州Philadelphiaに位置するThomas Jefferson University HospitalでInternal Medicineのexternshipをさせていただきました。Philadelphiaには全部で5つの医学部が存在し、街中にThomas Jefferson University関連のビルが点在しており、スクラブや白衣を着た医師や看護師が歩き回っている刺激的な都市でした。今回私は、米国の医療が実際どういう形で行われているのかをこの目でみたいという思いから、この研修プログラムに参加しました。

<研修スケジュール>

研修初日はオリエンテーションを兼ねて、救急外来やpatient flow management centerを見学させていただきました。救急外来は全部で50床ほどあり、各部屋に診療に必要な物品が一式揃っており、日本では考えられないような資源に圧倒されました。常に患者の待ち時間が表示されており、dispositionの決定までの時間に応じて、医師が評価され、報酬にも影響があるとのことでした。

私が研修した6月はアメリカではタームの切り替えで新しいresidentを迎える時期であり、忙しいということもあってか、本来希望していた内科病棟だけを3週間みっちりと研修するということはできませんでした。研修2日目以降は午前内科病棟、午後内科外来で過ごしました。

<病棟>

Thomas Jeffersonは他の米国の内科とはやや異なり、チームごとに、telemetry、循環器疾患、呼吸器疾患、消化器疾患など役割が決まっているとのことでした。私はGreen 4 teamに配属され、ここはいずれの専門科にも当てはまらない、いわゆる総合診療科で、単純なUTIから、側頭動脈炎、IV drug userの手背膿瘍、ヒストプラズマ感染症、priapismなど多種多様な疾患を扱っていました。TeamはAttending1人、Resident1人、Intern2人、学生2人に加えて私という構成であり、Attendingは都合次第で数日から1週間程度で交代していました。1日のスケジュールは、朝8時半から9時頃にAttendingがカンファレンスルームに到着し、入院患者を全員プレゼンするところから始まります。Attendingによっては、team全員で患者1人1人に会いに行くこともありましたが、最近はtable roundだけで済まされることが多くなってきているとのことでした。その後residentが各自の仕事を割り当て解散、夕方に再度集合し、状況を報告する形で1日が終了します。最初はobserverのみとのことでしたが、何度かお願いしていると、患者を1-2人割り当てていただくことができました。朝7時ごろに病棟に向かい、患者のプレラウンド及び夜間イベントの収集を行い、朝のプレゼンをさせていただきました。2週目以降は徐々にfollow up appointmentの予約や患者への手技の説明なども任せていただけるようになり、米国で実際に働くイメージを少しは掴むことができ、充実した時間となりました。

<外来>

午後の内科外来は主にresidentが行なっている内科外来のobservationでした。Residentがまずは一人で患者を見に行き、帰ってきてはPreceptorに報告し方針を決定するという形で外来は行われており、非常に手厚い印象を受けました。特に印象的であったのは米国の外来では予防医療について常に念頭に置いており、Residentたちはどの年齢でどのcheckupをしないといけないかを明確に覚えていたことでした。また各患者にかける時間も20-30分と長く、日本との大きな違いを感じました。

 

今回の研修では、全体を通して、米国の医療に触れることができたこと、そして現時点で自分に足りない点を再確認できたことが大きな収穫となりました。最後になりましたが、今回のexternshipでは多くの方のお世話になりました。野口医学研究所医学交流担当の木暮様、Jefferson Japan Center のYumiko Radi様、Rieko Nakamura様、Internal Medicineの病棟でお世話になったDr.Kim, Dr.Wicken, Dr, Taranjero, その他一緒のチームで働かせていただいたインターンや学生2人にこの場をお借りして、深くお礼申し上げます。また野口医学研究所及びThomas Jefferson University Hospitalの皆さまのおかげでこのような機会を得られたことに深く感謝申し上げます。