Kuakini Meidcal Center/University of Hawaii内科研修報告書
Kuakini Meidcal Centerはハワイ大学の教育関連病院の一つであり、ハワイ大学のレジデンシープログラムにおける中心となる研修病院の一つであると言われています。今回は、Kuakini Meidical CenterのMedical Care Teamで3週間、その後Dr. Jinichi Tokeshiのクリニックで1週間の研修をさせて頂きましたのでその報告をさせて頂きます。
<Medical Care Teamでの研修>
多くのアメリカの研修病院がそうであるように、Kuakini Meidcal CenterにおいてもPGY-3 (もしくはPGY-2)のレジデントがupper resident (チームリーダー)となり、Intern (PGY-1レジデント)やSub-I (4年目のMedical student)、3年目のMedical studentをまとめるという形を取っておりました。少し他の病院と違っていると思った点は、チームアテンディングは教育目的にのみおり、診療の監督者としては同じチームの中でも患者ごとに違ったアテンディングが割り当てられているという形となっていました。ただ、この形は私が初期研修を受けた病院とまったく同じ形であり、そのお陰もあり違和感なく入り込む事が出来ました。
また、ICU管理がopenになっていることも他の研修病院との違いの一つなのではないかと感じました。日本の病院ではopen ICUが多いかと思いますが、私の見てきたアメリカの教育研修病院ではclosed ICUになっている所がほとんどである印象を持っていました。
研修内容としては、朝のカンファレンスの前に各人での担当患者のpre round、朝のカンファレンスに参加、その後アテンディングの指示を仰ぎつつ業務をこなすという形が基本でありました。また、4日に一度の間隔で、新規入院患者を受け入れるon callの日が割り当てられており、この日に関しては、通常の病棟業務をしつつ新規患者のアセスメント、プラン立案、アテンディングとのdiscussionを行う日となります。
私自身としてはobserverの立場ではありましたが、出来る限り多くの経験をしたいと思っていたため、許される範囲でのチーム内での医学的なDiscussionやアテンディングとのDiscussionに積極的に参加し、Medical Studentなどに対しては担当患者の病態に関連する内容での教育、また、カンファレンスなどでプレゼンテーションの機会を頂けそうな際には積極的にやらせて頂くようにしました。
全体を通しての印象としては、Kuakini Medical centerのレジデントは、厳格に守られた労働環境の中で非常に優秀で教育熱心なアテンディングに囲まれて研修が出来ており、大変羨ましい環境であると実感致しました。
<Dr. Jinichi Tokeshiクリニックでの研修>
ハワイでの研修は始まる前から、Dr. Tokeshiクリニックでの研修については多くのことを耳にする機会がありました。自分がこの1週間の研修に耐えられるのかどうか、不安を胸に迎えた初日でありましたが、終了の時には1週間では短か過ぎると感じるほど内容の充実した研修でありました。
先生の患者さんが入院すれば、皆、先生ご自身がアテンディングとして担当し、毎日欠かさず患者さんの部屋を訪れる。当然のような話ではありますが、文字通り「毎日」を毎日続けられる医師は日本でもなかなかお会いしたことはありませんでした。
医療的に学んだことはもちろんたくさんあります。ただ、この場ではやはりDr.Tokeshiの一人の医師としての姿勢について少しお話したいと思います。私自身も医師となり数年が経過し、まだまだ数年ではありますが、恥ずかしながら自分のスタイルのようなものも出来つつあったのを実感していました。「患者さんの話には丁寧に耳を傾ける」「患者さんが最優先」当然のこととしてわかっているつもりではありましたが、この1週間を通して改めてその言葉の重さを実感しました。Dr. Tokeshiは「食事と睡眠はoptional」とおっしゃいますが、まさにその言葉のまま医師になって何十年のキャリアをもつ医師が実践している姿を目にする事は、今後あらたな道へと進もうとしている私を医師としての原点に戻してくれる出来事でありました。
今後も、医師としての謙虚な姿勢を忘れそうな時にはこの1週間を思い出し、しかるべき道に留まっていられる医師でありたいと思いました。
<謝辞>
今回、このような機会を与えて下さった野口研究所の皆様には心より感謝申し上げます。また、現地で大変お世話になりましたKenneth Sumida先生、Jinichi Tokeshi先生、チーフレジデントのThomas Deleon先生、 様々な手配をして下さったPaula Uchima様、最後に今回の研修中にお手伝い下さいましたすべての皆様に深く感謝致します。