International Education Weekレポート / Thomas Jefferson University
2024年11月11日より米国フィラデルフィアにある、Thomas Jefferson University Hospital大腸外科で3週間の日程で研修させていただいた。今回の研修2週目に大学でInternational Education Weekというイベントが行われるとのことで、渡航前にそのイベントで現地学生に向けて日本の医療などについてスピーチのオファーをいただいた。事前に具体的なテーマは特に指定されておらず、これまでの自分の経験を踏まえて日本の医療、外科診療について発表をすることになっていた。主な聴講者が学生であるとのことから、発表の内容は日本の外科レジデント教育についての内容を主軸に米国のレジデント教育に関連づけた方向性とし、研修開始前に一般的な日本の外科修練についてまとめた。しかし、数年前に海軍病院での勤務歴はあったものの、実際の米国レジデント教育を見たことはなかったため、今回の研修が開始してから現地のフェローDrやレジデントDrから教えていただいた情報と、実際に発表までの期間で見学したレジデント教育の様子などを元に、日本の外科教育の特徴や問題点を提示し、米国臨床教育との比較を各自で考察していただけるような内容とした。現地でInternational ServicesのMs. Mia Songとの事前打ち合わせで日本の医療制度等についても経験をふまえて紹介するのはどうかとご提案いただき、日本の保険診療について2つ目のテーマとして追加した。日本の保険診療制度については自分自身は専門的な知識なかったが、独自の解釈が含まれている可能性を前提に、発表までの準備期間で調べた内容と、自分自身が日常診療の中で感じていた優れた点や問題点について考察する方針とした。発表時間は20−30分で、その後10分程度ディスカッションの時間をいただいた。
2024年11月22日の発表当日、International Education Weekでのスピーチは会場での聴講に加えてオンライン中継、アーカイブでの後日視聴の体制で準備されていた。当日予定されていた会場が他の講義とダブルブッキングとなっていたハプニングがあったが、迅速に対応いただき、急遽別会場での発表となった。会場での参加者は、関係者、現地学生を含め10人ほどで、オンラインで数人が参加していた。また今回の私のスピーチは録画されてアーカイブとして後日視聴できるようになるとのことだった。
英語で比較的長時間のスピーチを行った経験はなかったため発表前は緊張したが、会場は非常に穏やかな雰囲気であり、比較的ラックスしてスピーチを行うことができた。
発表後には、ディスカッションの時間があり、私が消化器外科を志した理由について、医師の偏在について、日本の外科教育についていくつか質問を受けた。また、韓国出身の方からは韓国においても日本と同様の問題点(医師の現在や外科医減少傾向)が指摘されているとなどを教えていただき、様々な視点から議論を深めることができた。
今回の発表は自分にとってチャレンジングであったが、非常に貴重な経験となった。発表を終えてみると挑戦して本当に良かったと感じた。また、今回の準備を通して日本の医療や医学教育を振り返る機会にもなった。特に研修の前半では発表の準備をする中で出てきた米国の医療制度やレジデント教育についての疑問点を、直接現地のDrに直接教えていただくことができ研修自体をより有意義なものにすることができた。卒後12年目でのエクスターン参加となりましたが、このような成長の機会をいただいた、野口医学研究所の皆様、 Thomas Jefferson Universityの皆様に心より感謝申し上げます。
謝辞
今回このような貴重な機会をいただきました野口医学研究所の皆様、スピーチのオファーをいただいたTJU International Service Ms. Song、現地研修コーディネートや研修中にお世話になりましたTJU Japan Center Dr. Pohl, Dr. Lau, Radi様、Vincent様、大腸外科研修でご指導いただいたTJU Hospital Colorectal surgery Dr. Morgan, Dr. Isenberg, Dr. Phillips, Dr. Brian, Dr. Fari Fall, Dr. Zacharyに心より感謝申し上げます。