米国の医療について学ぶことができました
はじめに
私は2024年12月2日から27日までUniversity of Hawaii関連病院の一つであるKuakini Medical Center(Internal Medicine, Family Medicine)で計4週間の研修させていただきました。滞在中は、病院玄関から徒歩2分ほどのアパートに宿泊させて頂きました。冷蔵庫、キッチン、食器類、電子レンジ、洗濯機など生活に必要なものは全て揃っていました。徒歩10分以内にスーパーやコンビニ、ファストフード店、パン屋さんなどもあり非常に快適に過ごすことが出来ました。研修中、複数のInterviewが入ってしまうこともありましたが、幸いにも調整頂けました。以下にそれぞれの研修の概要を紹介いたします。
Internal Medicine研修
Internal MedicineではリーダーであるUpper resident (PGY2-3)とInternで構成されるチームに加えていただきました。オンコール翌日は午前中あたりで帰宅することにはなっていましたが、基本的には週6日の勤務でした。以前は参加型の実習だったようなのですが、方針の変更が最近あったようで、現在は患者さんに触れることやPresentationは許されておらず、Shadowingが実習の中心でした。それでも、最後にResident全員の前でケースプレゼンする機会をいただけましたし、同じチームのDr. Hirao, Dr. Chenをはじめとしてハワイのレジデントの皆さんはフレンドリーでとても居心地の良い環境でした。
実習の一日の大まかな流れとしては、まず朝6時前頃にInternが夜勤帯からの申し送りを受け、カルテレビューとPre-roundを行い、自分で方針を決めます。7時前にはUpper residentと合流し、状況の共有や方針のすり合わせを行います。その後、各Attendingに連絡を取り、方針を決定していました。PGY1,2でありながらICUも含めて能動的にカバーしており、Attendingからも大幅な訂正が入ることもなく彼らの決めた方針が実行されていました。チームリーダーのサポートは勿論ありましたが、患者さんのみならず患者家族への説明やソーシャルワーカーとの連絡、転棟や退院の判断もInternが積極的に行っていました。米国のResidentと日本の研修医の違いを知ることで、現在の自分の姿勢を見つめ直し、今後の課題を再確認する良い機会となりました。さらに、この忙しい勤務の中でもScholarly activitiesにも取り組まれており、レジデントの皆さんの向上心に感銘を受けました。
Family Medicine研修
Family Medicineでは50年近くHawaiiで家庭医をされている渡慶次仁一先生の外来診療を見学させていただきました。朝7時半に集合し昼頃までの外来に陪席させて頂くという流れでした。高血圧、高脂血症や糖尿病といった慢性疾患の管理のみならず、肥厚爪のケアなど幅広い範囲をカバーされていました。
渡慶次先生は1000ページを越える医学生向けの教育マニュアルを作成されるほどの医学知識と医学教育への情熱をお持ちでいらっしゃるのみならず、武道(特に剣道と居合道)に明るく、その基本的なルールや哲学についての本を出版されるなど、まさに圧倒されました。渡慶次先生を長年のかかりつけ医とされている日本人の患者さんも多くいらっしゃり、大変印象的でした。渡慶次先生からは医学知識だけでなく、患者さんとの接し方や医師としての信念など学ばせていただき、本当に実りある見取り稽古となりました。
まとめ
米国の医療がどう機能しているのか、医療チームの一員としてどのような能力が求められるのか、自分の目で直接確かめることが出来たのは貴重な経験となりました。また、人が人に提供する医療であるという点は米国であれ日本であれ共通しており、基本的な臨床能力やCompassionを高めることの重要性も再認識した次第です。慌ただしく日々は過ぎていきましたが、勤務後や休日には海や食事に連れていっていただき、充実した楽しい時間を過ごすことができました。
謝辞
最後に、一介のObserverでありながらチームに快く迎え入れてくれたDr. Hirao, Dr. Chen、またDr. KagiharaやChief ResidentのDr. KozaiをはじめとするKuakini Medical Centerの皆様、Family Medicine Clinicでご指導いただいた渡慶次先生、現地での生活をサポートしてくださったPaulaさん、渡航前準備などいつも迅速に対応してくださった野口医学研究所の皆様、その他すべての皆様にこの場をお借りして心より御礼申し上げます。