この度トーマス・ジェファーソン大学病院の内科で3週間のエクスターンシップに参加させて頂きました。以下に活動内容をご報告させて頂きます。

病棟チームでは本来見学のみで、カルテのアクセス権もありませんでしたが、アテンディングの裁量次第でそれ以上のことをさせて頂けることもありました。特に1週目と3週目はラウンド前に自身で担当患者さんを診察し、その後レジデントにカルテを見せてもらい記録を確認し、ラウンドの際にプレゼンテーションをすることができました。また3週間を通して、レジデントとその日に担当患者さんに起こったことや今後の方針を確認し、午後のカンファレンスで発表させて頂きました。2週目は自身で患者さんを診ることはできなかったため、朝はレジデントのプレラウンドに同行させてもらいました。1チームにはおよそ10名程度の患者さんがいましたが、そのうち2-3人は必ず薬物依存の方であり、またBMIが100を超えている方もいらっしゃったのが印象的で、国による違いを実感しました。電子カルテであるEpicは個人のスマホやPCからもアクセス可能で、またカルテ内にLINEのようなチャット機能があり、患者さんに関する情報やラウンドの集合時間等の業務上の連絡はそこでやり取りされていました。このためカルテを見るだけのために病院に出向く必要がないようで、早く英語圏だけではなく日本にもEpicが進出してほしいと思いました。また予想通り朝は早く、レジデントはラウンドの始まる3時間前に出勤して準備をしていました。医学生も日本でいう初期研修医かそれ以上で、チームの一員として患者さんを診察し、アテンディングの前で流暢にフルプレゼンテーションをした上で議論を戦わせていました。私自身4年前の学生の時に別のアメリカの病院を訪れたことがあり、その際レベルが高いことは分かってもいかにレベルが高いのかはいまいちピンと来ていませんでしたが、日本で研修医を終えた後の今回やっと良く分かったように思います。

午後は内科外来やChinatown Clinicを見学させて頂くこともありました。内科外来では指導医にレジデントか医学生が同席しており、彼らはまず自身で患者さんを診察してから指導医にプレゼンテーションし、その後指導医とともに再度患者さんを診察するということが徹底されていました。時間・マンパワーの両方の制約があるかとは思いますが、日本でもこのことが徹底されればレジデントにとってより質の高い外来研修になるのではないかと思いました。Chinatown Clinicでは無保険の患者さんに対して医学生主体の診療が行われており、それを1名の救急医の先生が監督されていました。患者さんは無償で医療を受けることができ、且つ医学生にとって良い教育の機会になるという点でとても優れたシステムだと思いましたが、同時に国民皆保険でないアメリカの保険制度の難しさを実感する機会でもありました。

期間中は大学の寮に滞在しました。病院のすぐそばだったためとても助かりました。図書館も整備されており、居心地が良かったため平日夜にほぼ毎日使用させて頂きました。どの施設でも安全上の理由なのか24時間職員さんが常駐されていたのが印象的でした。治安に関してはそこまで危険は感じませんでしたが、よくクスリの臭いがしたり、変な人に話しかけられたりはしました。その度に日本語で返答していたら、皆さん二言三言で諦めて去っていったので、良い方法なのかなと思いました。

週末にはフィラデルフィア周辺を観光したり、ニューヨークや友人のいるミネソタ州まで足を延ばしました。エンゼルスの大谷選手がフィリーズとの試合でこちらに来たので、2日続けて観に行きました。また最終週にニューヨークでテニスの全米オープンの男子決勝を観ることができた反面、スマートロックの不具合で予約していた郊外の宿泊先に朝まで入れなかったり、挙句の果てに海外で人生初のぎっくり腰を経験したりと散々でしたが、なんとか東京まで這って帰ってこれました。

以上になります。非常に実りある研修となりました。最後になりますが、チームに迎え入れて下さったDr. Kim, Dr. Valentine, Dr. TaboadaをはじめとするSilver 3, Green 4の皆様、外来見学をさせて下さったDr. Wayne Bond Lau, Dr. Kenneth Lau, Dr. Soutendijkに感謝申し上げます。またDr. Pohl, 佐藤先生と研究室の皆様、河合先生、森田先生、木暮様、ラディ様、携わって下さった全ての方々にも感謝申し上げます。ありがとうございました。