米国財団法人野口医学研究所

Kuakini Medical Centerでの研修

手稲渓仁会病院 総合内科増田海平

2022年12月10日〜12月30日ハワイ大学クアキニ医療センター

増田海平先生によるハワイ大学クアキニ医療センターでの研修レポート

はじめに

2022年12月12日から30日までUniversity of Hawaii関連病院の一つであるKuakini Medical Center(Internal Medicine, Family Medicine)で研修させていただきました。2020年12月に野口医学研究所のエクスターンシップの選考会に参加させていただいておりましたがコロナ禍の影響もあり、2年の月日を経てようやく研修に参加することができました。

Internal Medicineでの研修

Internal MedicineではUpper resident (PGY2-3)とIntern, Medical Student (12月はVacation のため不在でした)で構成される4つのチームのうち1チームの一員として参加させていただきました。各チームの患者数は平均するとICU/CCUは1-2人、一般病棟は6-8人程度でした。疾患に関しては、肺炎・膿胸や腎盂腎炎、電解質異常などcommon diseasesからアルコール離脱・急性肝不全・敗血症性ショックといった重症疾患まで多岐にわたりました。
診療や教育は屋根瓦方式をとっており、基本的にはまず朝にInternがNight floatからの引継ぎ、Medical Recordのチェック(Overnight eventやバイタルサイン、検査結果の確認)、pre-roundを行い、自分でまずはその日の方針を考えます。私は毎日朝5時過ぎにInternの先生と待ち合わせをして一緒に行動しておりました。早朝からInternの先生とお互い意見交換をしたり、手分けして文献を調べたりしておりました。また、Pre-roundでは、日本語しか喋らない患者さんも入院していたので通訳させていただくこともありました。6時半ごろにUpperと合流し、検査や治療方針の共有と確認を行います。その後、朝のDidactic 終了後にAttendingの前で、再度presentationをし、方針の確認と決定を行っておりました。私も受け持ち患者さんを2人程度割り当ててもらい、指導医の前でBed-side presentationをさせていただきました。米国のResidentの生活は朝早いと事前に伺っていましたが全くその通りで、これらの業務以外にも、Disposition調整、Discharge summeryの作成、家族との連絡、ICU Roundなど忙しなく時間が過ぎていきました。また、Kuakini Medical CenterでのRotationは4日に1日に入院担当チームの番が回ってきて、1日に4-6人の患者が入院してきました。入院を担当する日は、複数の新規入院の対応、それにともなうAdmission Summaryの作成などの業務が一度に降りかかってくるため、大変忙しそうでした。日本の初期研修(施設によってばらつきはあるかも知れませんが)と比べて、米国ではInternが即戦力とみなされており、トレーニングは全体的にintenseであると感じました。さらに、米国では常に効率が求められるため、さらにpressureが大きくなっていると感じました。

Family Medicineでの研修

Family Medicineでは長年、Hawaiiで臨床に従事されている渡慶次仁一先生の外来診療を見学させていただきました。外来診療では高血圧や糖尿病などの慢性疾患のみならず、脂漏性角化症の切除など多岐にわたりました。また、MaunalaniにあるNursing Facilityの回診にも同行させていただきました。渡慶次先生は医学知識のみならず日本の歴史や医学史など半端でない知識量をお持ちで、また、COVID-19の最新のトピックをはじめ最新の医学知識を日々updateし続けるその姿勢に非常に圧倒されました。日本人の患者さんも多く、信頼も非常に厚かったです。渡慶次先生からは医学知識のみならず、患者さんに接するときの姿勢や医師としてもつべき信念など多くのことを学ばていただきました。特に、印象に残ったことは、“今後米国で働くのであれば、日本から来た医師はエリートでかつ、Ambassadorのような存在とみなされるので、より一層、日本に関する知識を身に付ける”ようにアドバイス頂いたことです。渡慶次先生から学んだことを活かし、初心に戻り明日からの臨床に生かしていこうと思います。

まとめ

私は将来、米国でのInternal Medicine, Infectious Diseasesのトレーニングを目指しており、今回の研修に参加し、現場の雰囲気を肌で感じる良い機会となりました。また、現在は急性期病院で研修医の指導にも携わっているので、米国の研修システムと比較し、日本の医学教育の現場を客観視できる良い機会となりました。

謝辞

 最後に、同じチームのJosh, Malu、また、Dr. Sumida, Chief ResidentのGeneをはじめとするKuakini Medical Centerの皆様、Family Medicineでご指導いただいた渡慶次先生、現地で研修をアレンジしてくださったPaulaさん、何から何までサポートいただいた野口医学研究所の皆様に、この場をお借りして御礼申し上げます。

指導医のDr. Sumida、Chief residentのGeneと 指導医のDr. Sumida、Chief residentのGeneと
Family Medicineの渡慶次先生と Family Medicineの渡慶次先生と