米国財団法人野口医学研究所

米国の臨床現場の一端を垣間見ることが出来ました

横須賀米海軍基地病院 日本人フェロー高橋侑也

2022年5月30日〜6月17日米国トーマス・ジェファーソン大学

高橋侑也先生

私はトーマス・ジェファーソン大学病院の内科にて3週間のエクスターンシップに参加させて頂きました。内科の病棟チームに配属となり、回診・ミニレクチャーなどに加えて頂きました。オブザーバーシップの性質上、患者さんに触れることは出来ないこと、カルテへのアクセス権が無いことから、シャドウイングが中心でした。

自分にとって一番印象深かったのは医学生の臨床能力が非常に高いと感じたことです。問診・身体診察・データなどから必要な治療方針を自分で発案しアテンディングにプレゼン、大きな修正も無くそのまま実行されていたのが印象的でした。医学生は既にカレッジを卒業しているため人間としてより成熟していることなどが影響するため、一概に比較するのは困難とは思いますが、日米間における医学教育の差をまざまざと感じることが出来たように思います。自分が学生の頃は、たとえ日本語であっても、彼らのように能動的に患者を診療する能力は無かったです。学生主導のボランティアクリニック(JeffHOPE, Chinatown Clinic)に参加する機会もあり、そこでも学生たちが主体的に患者を診療する姿を目にし、感銘を受けました。日本でもこのような機会がもっと広まれば、卒後すぐに感じる学生と研修医のギャップを縮めることが出来るため良いかと思います。

米国の内科病棟チームがどのように機能しているかを直接見学することが出来たのも、内科レジデントとして渡米を目指す自分にとって貴重な経験となりました。患者さんを包括的に管理し、他科コンサルトやソーシャルワーカーとの調整などを行なっていました。腹腔穿刺、CV挿入なども専門家コンサルトすることが多く、内科レジデントが手技をする機会が少ない、といったお話も伺いました。レジデントが行う手技数はプログラムによって違いがあるとのことも初めて知り、今後マッチングでプログラムを選ぶに当たって注意しようと思いました。

 内科ローテーション以外にも、救急外来の見学、学生主導のボランティアクリニック(JeffHOPE, Chinatown Clinic)への参加、など充実した研修スケジュールを組んで頂きました。また、USMLEの受験をするためにスケジュールを調整してくださったりと、非常に柔軟に対応して頂きました。休日にはNYを訪れたりしてアメリカ生活を満喫しました。

 最後になりますが、病棟チームに迎え入れてくださったアテンディングのDr. WangおよびDr. Stewartをはじめ、レジデント・インターン・医学生の皆様に感謝申し上げます。Chinatown clinic 懇切丁寧にご指導くださったDr. Lau、またこのような貴重な機会を与えて頂き、渡航準備など大変丁寧に対応してくださった野口医学研究所の皆様、現地で生活などのお世話をして頂いたラディ様、その他すべての皆様に心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。