Kapi’olani Medical Center でのエクスターンシップ研修
2020年 2月より1ヶ月間University of Hawai’i Kapi’olani Medical Center for Woman and Children 小児科にてExternship研修をさせて頂き、誠に有難うございました。第1週はDevelopment-Behavioral、2週目はEmergency Department、3、4週目はInfectious Diseaseをローテーションしました。1ヶ月間で行ったこと、学んだこと、感想などを時系列で記載していきたいと思います。
主なスケジュールとしては毎日朝7:30より30分間のモーニングレポートがあります。前日入院になった患者の報告から始まり、レジデントなどの若手医師が診ている症例に関して症例報告をしながら、検査内容や鑑別疾患などに関して皆でディスカッションを行うといったものです。毎日お昼には12:30-13:30まで大学3年生に対してのランチレクチャーがあり、都合が合えば参加させてもらいました。
1週目は別棟にある発達専門外来を見させて頂きました。先生はお一人で、そこに医学生やレジデントが付きます。まずは彼らが初診を行い、その後先生の診察が始まります。ハワイに住む方は言語も文化も国籍も多様ですが、それぞれの家庭が子どもの発達や成長に対する不安を抱えています。訪れる患者に対して、診断するのはもちろんのことですが、それぞれのニーズに合わせたサポートを提供し、時にはなんと直接保育園に伺い実際に児がどのように生活しているか評価するといった機会に同席させて頂きました。日本のような単一民族国家と違うため、背景が様々なハワイの家族の訴えに対してそれぞれの価値観に理解を示しつつ適切な診断やその後のサポートへの家族の理解を得るのは決して簡単ではありません。時には自分の子に診断をつけられるのを恐れて拒否的になる方、先生に診てもらうためにOahu島以外から何時間もかけて診察に訪れる方、言語理解の問題で適切なサポートを受け損ねていた家族などもいらっしゃり、どんな方に対しても真摯に耳を傾け、その後の支援に繋げるようとする医師の姿には感銘を受けました。自分は、診察中は時に検査の補助や、その後、診た患者のディスカッションに参加させてもらいました。
非常に学ぶことの多い初週ではありましたが、1週目では毎日のモーニングレポートでなかなか議論に加わることが出来ず、悔しい思いを感じた週でもありました。
2週目は救急外来(E D)での研修でした。毎日のモーニングレポートでは、例え発言した内容が正しくないとしても無口で聞いているだけでは参加していることにならないと感じ、必ず毎日何か発言しようと決めました。先天性梅毒の症例に対しての質問があり、たまたま記憶の片隅に残っていた知識を絞り出し発言をしたところ、レポート後に先生方やチーフレジデントの方がGood Job!!と褒めてくださり非常に嬉しかったです。それ以降はメンバーの一人として見てくださり、積極的に発言出来るようになりました。
EDでは6時から14時、14時―22時、16時―24時、22時―6時のシフトで1日合計4人の医師が交代しながら働いています。直接患者に触れることは規則上できなかったため、毎日様々な先生につきながら症例に関しての説明を受けたり、問題を出していただいたりしました。基本的には医学生やレジデントが初診を行い、その報告をもとに上級医が治療内容を決定していくスタイルで、必ず全ての症例報告に対しての上級医からのフィードバックがあり、非常に学生やレジデントが学べる機会が多いと感じました。同時期にローテーションしていた医学生の子と仲良くなったため、彼女の初診に同席し、上級医に報告する前に一緒に病態や鑑別疾患をディスカッションできました。ハワイという比較的穏やかな地域の小児病院でありながらも、性虐待、薬物中毒、銃で発砲されが割れた車のガラスによって怪我をした症例など、たった1週間のローテーションであるにも関わらず日本ではなかなか診ることのない様々な症例を目の当たりに出来ました。
3、4週目には感染症科(ID)を周りました。入院患者やE Dの感染症で診断や治療が困難な症例のコンサルテーションを受け、実際に患者のもとに行き詳細な問診や検査内容のリアセスメント、適切な治療内容やフォローアップの仕方などのアドバイスを行う専門科です。幸いなことに、外来の患者の初診をとったり、入院患者の毎日の状態を報告したり出来るチャンスをいただき、慣れない言語やカルテから情報をまとめるのは慣れない自分にとっては大変ではありましたが、常に有意義な毎日を過ごせました。3、4週目の金曜には、印象に残った症例に関するパワーポイントによるプレゼンテーションの機会もいただきました。英語で30分間話し続けるプレゼンテーションを1週間以内に仕上げるのはかなりチャレンジングではありましたが、せっかくいただいた機会を無駄にしまいと、毎日夜まで症例やそれに関する論文を読みながら準備を進めました。プレゼン後にはフィードバックもしてくださり、英語や医学知識のみでなく、発表の仕方なども学ぶことができる非常に貴重な機会でした。自分の調べた論文に記載されていたフォローアップの仕方を先生が用いてくださり、患者さんに間接的に貢献することが出来たのはとても光栄でありました。
長いようで気づけばあっという間に1ヶ月が終わり、本当に日々多くのことを学ぶことが出来ました。佐野先生、佐藤先生はじめ選考に関わってくださった野口医学研究所の先生方、事務関連の手続きをしてくださった木暮さん、ハワイの現地での宿泊関連の手続きをしてくださったPaula さん、病院研修のサポートをしてくださったMeleさん、Kapi’olani Medical Center for Woman and Children でお世話になったBala先生、 Melish先生、Chin先生、French先生、 Okamoto先生、Eakin先生を始め、その他様々な先生やレジデント、医学生の皆さんには非常にお世話になりました。この1ヶ月で学んだことを今後に生かしていきたいと思います。