米国財団法人野口医学研究所

研修レポート

学生KHONGTHONG PHOR RANAT

2018年3月米国トーマス・ジェファーソン大学

本プログラムのはじめに3月23日にオリエンテーションがありました。オリエンテーションはトマス・ジェファーソン大学のジャパンセンターで行われました。そこで研修生たちはトマス・ジェファーソン大学およびフィラデルフィア街の基本知識について説明していただきました。その後、この一週間の間、案内してくれるステファニーさんとアンジェルさんに紹介されました。昼食の際にその二人が研修生たちをリーディングターミナルマーケットへ連れていってくれました。

研修1日目、研修生たちは2グループに分かれ、私はグループ1に割り当てられました。その朝、内科の院内ラウンドからはじめました。日本のラウンドと比べ、アメリカのラウンドは時間がかかり、医療提供者が時間をかけて患者と話しをするようです。さらに、医療提供者が現在までの治療から退院に向けてこれから行う治療までを患者に説明することに感動しました。患者は普段疾患のメカニズムや薬の作用まで説明してもらうそうです。ラウンドに参加したレジデントたちが積極的に互いに意見を交換した結果、ラウンドは非常に効果的であると思いました。午後は救命救急科でした。そこは意外に平和でした。一般的な考え方と違い、ほとんどすべての医者はコンピュータの前に座って薬を処方したり、ノートを書き込んだりしていました。患者が来たとき、医者はコンピュータから離れてゆっくり診に行きました。コンピュータにアクセスするとき、IDやパスワードを入力せず、医者の電子バッジだけをタブすればすぐにコンピュータにログインをすることができます。コンピュータが中心となったデータベースシステムおよび電子バッジのおかげで情報の取り扱いは整理しやすく、非常に速いです。さらに、患者のリストには様々な記号や色が付けられて、緊急度の判断に上手に利用されています。

次の日、グループ1は神経内科のバーク先生のmorning roundに参加しました。前半はテーブルラウンドがあり、そこで患者全員の近況についてディスカッションを行いました。その後、各患者の部屋に訪問しました。内科と同様に、医者は時間をかけて患者および患者の家族にきちんと説明してあげました。患者の家族は自由に治療に対する不安や質問を出すことができます。さらに、患者がしばしば自分の治療について聞かれ、選択を与えられることは普通とのことです。午後はクリニカルスキルセッションがありました。そこで Dr Lauという救命救急科の先生が研修生に症例を与えて、診断と対応について考えさせました。このセッションを通じて、自分が初めて医者のように考えることができました。その夕方、私はJeffHOPEという組織のSunday Breakfast Missionの活動に参加しました。JeffHOPEとはトマス・ジェファソン大学の医学生たちが運営している、フィラデルフィア市内のホームレスの人のため、無料クリニックや無料食事の提供、様々な活動を行う組織のことである。その活動の中にSunday Breakfast Missionというミッションがあります。週一度、市内のホームレスを集めて、無料診察を行ったり、無料食事を与えたりしているそうです。無料診断では、1グループの中にレジデント一人、高学年医学生一人と低学年医学生一人がいました。先輩たちが低学年の後輩を診察のやり方や医学知識を教えながら、患者を実際に診察しました。非常に素晴らしい仕組みでした。

研修3日目、私のグループは救命救急科に行きました。今回は意識のない救急患者がいまして、心臓病専門医、放射線科医、様々な専門医が彼女の周りに集まりました。最初は非常に厳しい状況でしたが、最終的に患者は無事に意識が戻りました。この事件で救命救急科が時間に対する戦いだけでなく、様々な分野の専門医の協力も必要であると気づきました。午後は臨床的な奇形が集められたムター博物館に行きました。

木曜日、グループ1は家庭医療外来に行きました。外来のクリニックはメインキャンパスから離れたところにありました。私はナース・プラクティショナーにシャドーイングしました。その現場でナース・プラクティショナーと医者の違いについて初めて学びました。患者のほとんどは咳やかぜなどの軽症で来ました。多くは書類に医者のサインをもらうため、来ました。午後は腟鏡を使った骨盤内診察について学び、実際にモデルを使って行ってみました。アメリカの腟鏡は日本の金属鏡と違って、プラスチック製です。そのため、アメリカの腟鏡は診察の際によりやさしく、使い捨てのタイプです。

最後の日、私のグループは小児科外来に行きました。イースター休暇のため、患者は少なかったです。多くの患者は7日未満の新生児で、定期チェックアップのために連れてこられました。午後は研修生全員は今まで案内してくれたステファニーさんとアンジェルさんと一緒に昼食に行って、最後にクロージングに参加しました。

今回、トマス・ジェファーソン大学病院の様々な診療科に訪問し、見学ができる機会を得ましたことを光栄に存じます。それぞれの診療科に特徴の苦難や伝統がありますが、どの科でも患者の命を守ることが総合的な目的です。アメリカの医療提供者は時間をかけて、患者の悩みを聞いたり、治療の詳細を説明したり、患者の不安を慰めたりします。医者は近い距離をとり、患者とフレンドリーな雰囲気で喋ります。残念ながら、英語の専門用語や初耳の略語など、様々理由で私は研修内容を完璧に把握することができませんでしたが、先生方々は優しく説明してくださったおかげで本プログラムを満喫しました。これからも、英語の専門用語がわかるように勉強していきたいと思います。いつか、自分がトマス・ジェファーソン大学に戻って、完璧に内容がわかるようになることが期待しております。この素晴らしい一週間を経験させていただき心より感謝しております。

 

謝辞

本プログラムに際して、参加させていただく機会を頂きました米国財団法人 野口医学研究所の浅野 嘉久先生、Ph.D., DPH.、Joseph S. Gonnella先生、MD.、佐藤 隆美先生、MD., Ph.D.津田 武先生、MD.、末永 佳文氏、堤 大造氏、ラディ 由美子氏に感謝しております。また、様々なご指導を頂きましたJanice Bogen氏、Matthew Dugan氏、Natanya Williams氏、Mathew Zheng氏、 MD, Nicholas Governatori氏、MD, Matthew Berk氏、MD, Wayne Bond Lau氏、MD, Ronald Hall氏、MD, Bernadette Sunner氏、Stefani Russo氏、MD, Katrina Foo氏、MD、Paul Leo氏、 に深謝いたします。