米国財団法人野口医学研究所

ハワイ大学での研修を終えて

学生谷口順平

2016年3月ハワイ大学

今回、201636日から11日までの6日間、米国財団法人野口医学研究所の奨学金制度を通して、ハワイ大学の医学部John.A.Burns school of medicineClinical reasoning workshopに参加させていただきました。参加者は私を含め23人でした。その内、野口医学研究所の奨学金制度利用者は私を含め3名で、他はみな各所属大学がハワイ大学と提携しており、その留学制度による参加者でした。参加者の学年は2年生から6年生までと幅広く、様々なバックグラウンドを持った学生が参加していました。

私がワークショップに参加した理由は3つあります。1つ目は、アメリカの医学教育を体験したいというものです。その体験を通して、グローバルスタンダードな医学学習の方法を取得し将来の臨床留学に繋げたいと考えました。2つ目は、アメリカの医療を体験したいというものです。日本と異なる医療制度や医師をこの目で見ることで、日本の医療を客観的に見つめ直し、良い点と悪い点を理解したいと考えました。3つ目は、単純にハワイに行ってみたいという思いでした。歴史的にも日本と関わりが深いこの地で、現地に住む方々と交流を深めたいという率直な希望がありました。

ワークショップの内容は、大きく分けて講義と実習がありました。講義では、問診、症例発表、USMLE形式の問題、禁煙指導を学びました。実習では、マネキンを用いた乳児のER対応と、シミュレーション機器を用いた気管支鏡、腹腔鏡の練習と模擬患者による医療面接・身体診察、そして、triple jumpと呼ばれるProblem based learningPBL)形式の臨床推論の学習を行いました。講義と実習がカリキュラムの中にバランスよく配分されており、講義で学んだ知識をすぐに実習の場で活かす事ができ、知識と実践力を体系的に学ぶ事が出来る非常に良いカリキュラムでした。また講義・実習以外にも文化交流の時間も用意されており、フラダンスやレイと呼ばれるハワイの装飾品の作り方も学ぶことが出来ました。

講義はただ一方的に講師が話すだけでなく、学生同士や教員と学生間で積極的に意見を交わしながら進められていく双方向的な形式が多かったです。学ぶ内容自体は、基本的なものが多く、日本で学んできたものと大きな違いはありませんでしたが、日本での授業と異なり、知識を学ぶことと使うことが密接につながっており、実践力として定着しやすい内容になっていました。

実習で学んだもので特によかったのは、ERでの乳児救急患者への対応、模擬患者による医療面接・身体診察でした。ERでの対応では、グループで乳児の救急患者(マネキン)のファーストタッチから治療まで責任を持って行うもので、問診、身体診察、検査、治療という一連の全ての知識・技術が必要とされました。そのようなロールプレイを行う機会は日本ではあまりなく、非常に良い経験でした。この授業を通して、知識を単に記憶として学ぶだけでなく、医療現場に応用できる形で学んでいくことの必要性を非常に強く感じました。模擬患者による医療面接・身体診察は、日本で4年次に受けたOSCEの医療面接に身体診察を加えたものでした。英語で全てに対応する必要があるため、なかなか思うように情報が収集出来ず、悔しい思いもしました。しかし問診から身体診察、臨床推論に至る一連の流れを全て英語で行った今回の体験は、将来USMLE受験を目指している自分にとっては非常に良い経験となりました。

今回の研修を通し、良き先生方、良き友に出会い、貴重な経験をさせて頂く事が出来ました。この経験を糧に、これからも多くの事を学び、日本、世界で活躍出来る医師になれるように頑張っていきたいと思います。

謝辞

今回、貴重な機会を与えて下さった米国財団法人野口医学研究所の皆様に感謝致します。また、ご多忙な中、貴重な時間を割いて実習期間中親切に面倒を見て下さった、ハワイ大学の先生方やKori-Jo Kochiさんに深く感謝致します。今までの学生生活では得ることの出来なかった今回の経験を、今後の学習に役立てていきたいと思います。ありがとうございました。