米国での充実した神経内科の診療、教育体制を知ることができました。
この度野口医学研究所のご支援のもと2020/2/10-2020/2/28の間Thomas Jefferson University HospitalのNeurologyにて3週間研修させて頂きましたのでご報告致します。
私は将来アメリカのResidencyへ進むことを検討しており、学生時代にUniversity of Southern CaliforniaのNeurology, Pediatricsでの実習経験があり、現在は大学病院の初期研修1年の後半にさしかかっております。USMLEはStep2CSを取得しています。
学生時代からアメリカのResidencyに興味がありResidencyにつながる様なコネクションや推薦状を得る機会を得たいと思ったこと、学生時代留学中にお世話になった先生にアメリカでのResidencyを考えているなら他の施設、できれば東海岸の診療もみた方がよいとのアドバイスを頂いたことから今回プログラムに応募しました。そのため、今回の留学ではTJUのResidentがどのように研修しているか見ること、診療に参加しプレゼンテーションを行うなどアメリカでResidentになった際に行う様な診療を体験すること、推薦状を得ることを目標としました。
今回の研修予定ですが、事前に研修の目的のヒアリングがあり、それに基づきJapan CenterのRadiさんとNeurologyの先生方、Residency coordinatorの話し合いにより決定した以下の様なスケジュールで研修を行ないました。また、研修開始時に特に予定がなかった日程については適宜Radiさん、先生に伺ったり希望を伝えたりして研修を行ないました。
今回の研修では様々な先生の診療、検査、講義、カンファレンス等を見学しており、研修の内容を一言で言い表すのは難しいため、スケジュールごとの研修内容、感想を先にまとめ、その後に研修全体としての感想・今回得られた事についてまとめました。
また今回の研修では患者さんに直接触れる様な診察、直接お話して問診をすることは許されないという事になっていたため所謂エクスターンとして学生実習の時の様に自らが主体となって診療に関わることは出来ず、見学者(Observer)という立場での研修でした。
【各スケジュールごとの研修内容・感想】
・Lecture “US health care system”
Japan Centerの上原先生よりアメリカと日本の医療の違いについての講義がありました。日本とアメリカの保険制度の違いをわかりやすく説明して下さりました。
・Hospital Tour
Neuroscience hospitalのICUの病棟の見学をしました。看護師さんが設備の説明をしてくれながらTourをして下さいました。日本のICUと機能は基本的には変わらないと思いますが、最新の設備がそろえられていました。これまで日本で見てきたICUは1つのフロアにベッドを隣り合わせて起き、カーテンで仕切っていましたが、こちらでは個室に別れており、カーテンは感染の原因になるということで、カーテンがない変わりにボタンを押すと曇る硝子の窓になっていました。また、看護師の腰痛予防のため、またアメリカでは体重が重い患者が多いことから、患者を移動させるためのリフトが各個室に1台ありました。病棟にはポータブルのCTや遠隔医療支援のための診察ロボットといった最新の機器も置いてありました。NeurologyではアテンディングがStroke Callという、病院外で待機し脳卒中に関する相談があった場合は対応するという勤務があるそうですが、病棟内で患者が何かあった際はこの診察ロボットに携帯のアプリからアクセスし、患者さんの様子を見たり簡単な診察を行うことができるとのことでした。
病院内のベッドコントロールを行う部署であるPatient Management Centerの見学を行いました。bed management, case management, environmental servicesの3つのブースがあり、それぞれが協力してベッド調整を行っていました。フロアには大きいモニターがあり、現在のベッド状況、目標が表示されており全員で目標を共有できる様になっていました。現在働いている病院では看護師や医師など病棟で働くスタッフがベッドコントロールに関わっていますが、ベッドコントロールをするためだけの部署で一貫して行うことでよりスムーズなベッドコントロールを行い、臨床の場では看護師や医師が診療に集中できて良いのではないかと思いました。
また、Pool Nurse Systemについての説明が担当の看護師さんからありました。Pool Nurse Systemとは病棟で看護師さんが足りない場合、Pool Nurseとして登録している看護師さんに連絡して勤務してもらうというものでした。看護師さんが足りているかの評価は、看護師1人あたりの担当患者数が決まっており、その患者数を超えると看護師が足りていないということになりPool Nurseを派遣するそうです。看護師さんがオーバーワークにならず、患者さんの安全を守るシステムがあるのは良いと思いました。またこれも人事だけを担当するナースがいることで病棟の看護師は病棟でのケアに集中できるので良いと思いました。
・General Neurology outpatient clinic (Dr Sheehan) 2/11,2/12pm
AnesthesiaのPain manegementのfellowの先生が1人ローテーションに来ており、その先生がまず予診をしてからSheehan先生にその結果をプレゼンしディスカッションした後にSheeehan先生、Fellowが一緒に患者さんを見に行くという形で行われていました。日本では後期研修やその後のサブスペシャリティの研修において外来でこの様な形で上級医の指導を受けること、また他の科の専門医を上級医が指導することはあまり見かけません。
General neurologyは日本で言えば大きい病院の初診外来、またはかかりつけのクリニックの様な感じで視野障害、頭痛等診断のついていない症候を主訴とする新患やmigraineのフォローアップ等を行っていました。
他に診療体制で日本と異なっている点がいくつかありました。1つ目としてはカルテ上で患者さんへの指示を記載し最後にプリントアウトして渡すことができる欄がありました。
例えばmigraine予防のために生活で気をつける点、検査を受けた後にフォローアップを予約する様にと言った患者さんへの指示、Aという薬を1ヶ月試してみて効果がなければBを次は試すといった治療方針等が記載されていました。口頭のみで伝えるよりも確実で丁寧だと思いました。ここで記載した内容はカルテにもコピーアンドペーストで転記し患者さんに伝えた内容として記録する様でした。
2つ目としては遠隔医療が可能ということです。ビデオ通話と電話の2つの方法がありますが、単純に薬のrefillの場合は電話で行っており、例えば片頭痛に対してAの薬の反応を見てどうだったか等問診のみでよいケースではビデオ通話で行っていました。法律上患者さんがいる州の免許を医師が持っていないと診療できないため、患者さんは旅行先等ではビデオ通話であっても受診できず、かかる医師と同じ州にいなくてはなりません。
3つ目は患者さんがオンライン上でカルテの内容の一部にアクセス出来ることです。検査結果を確認したり、主治医に質問を送ったりすることができる様でした。
4つ目は血液検査をオーダーする際、必要最小限のオーダーをすると言うことです。例えば前医から紹介された患者さんの場合前医で行った項目(血算、生化学)などは再検せず、今回必要な検査(例えばビタミン、甲状腺ホルモンなど)のみオーダーします。日本でもこの様にオーダーすることもあるかもしれませんが、医療機関を変えると前医で行った項目も含めて再検することが多い様に感じます。
5つ目は外来においても理学療法を積極的に取り入れるという事です。日本では専門のリハビリ施設以外、一般的な大学病院や市中病院といった大きな病院で外来のリハビリオーダーはあまりいれない印象がありますが、頭痛に対するPhysical theraphy(頭痛体操の様なものを行う)、めまいに対するVestibular therapy、Visual therapyなど様々な理学療法を外来でオーダーしていました。外来でオーダーされた理学療法は大学病院内のリハビリ施設、または近所のリハビリ施設どちらでも行えるとのことでした。
外来の予約人数ですが、今回見学したどの先生の外来でも基本的には30分に1枠の予約となっており、少し次の枠に押してしまうことはありますが診療の時間には比較的余裕がある様に見えました。入院のチームでも同様ですが、時間に余裕があることもあり、患者さんへの鑑別診断、必要な検査、今後の治療・予後、生活における注意点などの説明を非常に丁寧に行っていると思いました。神経疾患では必ずしもすっきりとした診断が得られないことや、すぐに治療効果が得られないこともあることから、十分な説明を行うことがtreatmentの一環として重要だと感じました。
・Epilepsy outpatient clinic (Dr Nei, Dr Higdon)
てんかんの患者さんの診療を行っている外来でした。しばらく症状がなかったが最近症状が出た患者さんの診断・治療の検討や、薬物療法を行っている患者さんの薬剤調整、VNSを入れている患者の管理等を行っていました。てんかんに対する術後の患者さんやVNSを入れた患者さんの管理は日本では脳外科の方がよく行っている印象がありますが、こちらでは基本的にアメリカでは脳外科は外科的治療の適応になる患者さんの診断や手術の時のみ介入し、てんかんの診断・外来での管理はNeurologyがメインに行っている様でした。てんかんにまつわる社会制度で日本と異なっていた所は、日本では患者さん本人がてんかんを報告する義務がありますが、TJUのあるフィラデルフィア州ではてんかん発作のあった患者は運転免許を一時的に(6ヶ月間)停止しなければならないため、医師がてんかんが疑われる症状のあった患者さんを州に報告する義務があるということです。
てんかんの診断のために必要な脳波の検査はまずは外来にて30分程度の短い時間で行っており、それで異常波形が捕まらない場合は自宅でつけられるモニターを使うか、後述のEEG monitor unitに入院して脳波の検査を行う様でした。短い時間だとてんかん波形が捕らえられない場合が多いですが、例えば睡眠不足の時に症状がでやすいといった訴えがある場合は、睡眠不足の状態で外来の検査を受けるようにと指導するなど工夫していました。
こちらの外来でも生活指導や今後の治療に関してよく説明されていると言う印象を受けました。女性の場合は妊娠の可能性があるか・授乳をするかによって薬剤の変更が必要となることがあり、事前にそれについて説明しておくことが大事だということも学びました。
・Headache outpatient clinic (Dr Nahas, Dr Marmura)
主に頭痛、特に難治性の片頭痛に関する診療を行っている外来を見学しました。
頭痛診療に関する様々なエビデンス、ガイドラインがありますが、単純にこういう基準ならこの薬を選択という様にはできず、患者さんと相談しながらオーダーメイドの医療をして行く必要があると言うことを学びました。 特にDr Murmuraの外来ではTJUのNeuroscience Hospitalで世界で初めて行われたという偏頭痛に対するボトックス注射をよくされていました。日本では偏頭痛に対する治療としてそれが行われている所を見たことがありませんでした。また、片頭痛と関連するCGRP受容体に対するモノクローナル抗体注射など最新の治療法や様々な治験も行われており最先端の頭痛診療を見ることができました。またそういった最先端の薬物療法だけでなく、緑色のランプを用いたり、Physical Therapyを活用するなど薬以外の治療法もよく活用されていました。
Dr Murmuraは今まで経験した患者さんの体験談を例に頭痛改善のためのtipsをよくお話されていました。 例えば頭痛の記録をするときに10段階で痛みが何段階かを記載する代わりに、体調が良かった日はhappy face(笑顔の絵文字)を記載し、良くなかった日は体調が良くなかったと記載し、治療後カレンダーがhappy faceでほとんど埋め尽くされたことで治療効果を感じることができるようになったという例をお話されていました。こうすることで痛みから意識をそらし、よりポジティブになれるので良さそうだと思いました。Dr Murmuraはとてもユーモアに富んでいる方で色々冗談をいったり、症状や病気のことだけでなく家族や子供の話をするなどとても気さくで先生とお話するだけでも少し症状がよくなるのではないかという雰囲気作りをされており、患者さんと接する態度にも感銘を受けました。
・Neuroimmunology outpatient clinic (Dr Marcovich, Dr Miskin)
MSやNMOの診療をしている先生のクリニックでした。外来でフォローしている患者さんは主にDisease Modifying Drugを使用されている患者さんでしたが、MSの治療においてもこの基準を満たしたらこうと言う厳密なガイドラインはなく、患者さんと話し合いながら治療法を選択していくということを学べました。Dr Marcovichは日本の先生ともMSの共同研究を行っているという話しをおっしゃっていました。
・Inpatient round
2/13,14,19,20の4日間病棟のチームの回診に参加しました。13,14はDr. Ambrose、19,20はDr. McCallがAttendingでした。Neurologyの入院のチームはICU, stroke, consult, General neurology, EEG monitor unitと少なくとも5個はありましたが、今回見学したのはGeneral neurologyのチームでした。チームの構成は学生が4人、レジデントが4人、アテンディングが1人の9人となっていました。患者さんはGuillain-Barre症候群、Multiple sclerosisの急性増悪、NMDA受容体抗体脳炎、片頭痛に対するケタミン投与など脳梗塞以外の神経疾患で入院されている方でした。1日の流れとしては9時頃にWork roomにて学生がそれぞれ担当している患者さん1-2人程度のプレゼンをし、それに対してアテンディングやレジデントがコメントを追加しながら今日の方針を話し合います。その後病棟を回診し、アテンディングが患者さんを診察し、現在の病状、今後の治療方針等に関してICを行います。日々の患者さんへの説明はとても丁寧に行われる様に感じました。
・Lecture for residents
様々なSubspecialtyの先生から各分野についてのレジデント向けの講義が朝やランチの時間を使って行われており、研修の期間の間すべての講義に参加しました。ランチの時間の講義では毎回お昼が用意されていました。日本では研修施設で専門医取得前の後期研修医が集まって、上級医から講義を受ける機会はなかなかないですが、このような後期研修医むけの学習の機会も充実している点が異なっていると思いました。
ある時にはレジデントが今取り組んでいる臨床研究プロジェクトについてプレゼンした後、研究のデザインについての意見を他の先生から聞いてディスカッションする機会がありました。この時上級医からNHSやMedicareのデータを使うことをアドバイスしており、レジデントの時からビッグデータを用いた臨床研究をすることに驚きました。また、スペインのグループがNHSのデータを使用して論文を出した例も挙げており、自国以外の公開されたビッグデータを用いた研究も可能だということを始めて知りました。レジデントに聞いたところ、4年生までに1つのプロジェクトの結果をだし、論文投稿をすることがTJUのNeurologyのレジデンシープログラムでは義務づけられているとのことでした。レジデントが行う臨床研究は患者さんのデータは自分で集める必要がありますが、分析はプログラム専属のアナリストに依頼できるとのことでした。臨床研究を行うための資源、教育環境が日本と比較しても十分に整っている様に感じました。
・Journal club
研究の良い所(Strong point)を検討し、今後臨床研究を行う際に役立てるために毎月1回臨床研究の論文を1,2本取り上げてJournal Clubを行なっているそうです。レジデントが論文に関してプレゼンし、それに対しアテンディングや他のレジデントが質問し意見を出し合っていくスタイルで進められていました。レジデントの頃から論文を読むトレーニング、臨床研究のすすめ方について学ぶ機会があるのは素晴らしいと思いました。
・Stroke conference
脳外科と合同のカンファレンスで1件症例プレゼンがあり、その後レジデントから脳血管攣縮症の一例についてプレゼンがありました。アテンディングから学生にむけて質問があったりレジデントが意見を出し合ったりしていました。
・EEG monitor unit
Epilepsy outpatient clinicを見学させて頂いたDr. HigdonからEEG monitor unitで毎日脳波の判読を行っているのでよければ見学にきたらどうかとお誘い頂き、もともとopenだった2/26に見学をさせてもらいました。EEG monitor unitではてんかん重積で入院された患者さんやてんかんの診断のために長時間のモニターが必要な方、精神性のてんかん発作との鑑別が必要な方が入院されており、24時間ビデオモニターがされていました。ビデオEEGをみて診断を行っていたり、てんかん薬の調整を行っていました。今までてんかんの診断・治療のためだけの病棟を見たことがなかったのでとても新鮮な体験でした。
・Neuromuscular outpatient clinic
Inpatientでお話ししたresidentにNeuromuscular diseaseに興味があると言ったところ、TJUにもNeuromuscularの専門の先生がいらっしゃり外来を行っているので相談してみたらどうかとアドバイスを頂き、Japan centerのRadiさんを通じてお願いして、もともとOpenだった2/27の午前中にNeuromucular clinicにてNCSやEMGといった神経電気生理検査をする様子を見学させてもらいました。そこではInternal medicineを終えてNeurology1年目のresidentとNeuromuscularのFellow, attendingの3人で検査をおこなっており、residentが教えてもらいながら検査を見学したり実際に行ったりしていました。研修医1年目から電気生理の先生と1:1で教えてもらいながら検査をする機会があるのは素晴らしいと思いました。
【全体を通した感想 】
・研修制度
全米の中でも屈指のNeurosienceの診療・研究・教育を行なっている施設ではありますが、 これほど各サブスペシャリティの専門家がそろっており、全領域にわたって全米でも有名なサブスペシャリティの専門家から指導を受けられる施設は今まで見たことがありませんでした。後期研修医の間にこれだけ満遍なく患者さんを見ることができれば、ジェネラルに神経疾患をみる力はかなりつくと思いました。都市部では特にその傾向は強いかもしれませんが、特に日本では施設ごとにサブスペシャリティの片寄りがあり、TJUのNeurologyほど深く・広く神経内科の診療を後期研修で経験することは難しいのではないかと思いました。日本の神経内科の診療を行っている施設を多く見たことがあるわけではないので断言はできませんが、アメリカのNeurologyのresidency と同程度のクオリティの後期研修を全国どこでも均一に受けられる機会を実現するには学閥、診療科にとらわれず他施設、他科でも研修できるようにする等の工夫が必要である様に感じました。自分で患者さんに関連する文献を読む、学会に参加するといったことでも様々な分野の勉強をすることはできますが、実際の患者さんを診ながらその道の専門の先生に一言教えて頂くだけでも机上では得られない経験・知識を得られ非常に貴重な修練の機会であると思いました。
・診療の内容
外来の時間には比較的余裕があり、1枠30分程度で十分に問診、診察、説明を行えていると思いました。学生の時に留学中外来を見学した際は、Residentがまず問診をし、それをAttendingにプレゼンする、患者さんが部屋に待っており、医師がwork roomから診察室に出向く、診察をする時はカルテを見ないで診察をし、後でwork roomに戻ってからカルテ記載するという所が日本の外来診療とは違った所だと思っていましたが、今回様々な年代の様々な分野の先生の外来を見学したことで必ずしもそうでないということがわかりました。上記の様な診療を行っている先生もいましたが、先生によってはAttending1人で外来診療をしており、初めからAttendingが診察をすることもあり、先生がいる診察室に患者さんを呼ぶこともあれば、お話を聞きながらその場で電子カルテを記載することもありました。
外来で薬を処方することだけが治療ではなく、頭痛の症状改善・てんかん患者の外傷防止等のための生活指導を十分に行うことも重要だと感じました。またそれらを口頭で伝えるだけでなく、テンプレートのパンフレットではなくその患者さんのためにオーダーメードで作った注意事項・指導内容を記載した紙をカルテ上で作成し渡していたのが良いと思いました。
・研究の環境
Jounal ClubやLecture等で臨床研究の手法について学ぶ機会があり、レジデント1年目から積極的に臨床研究をおこなえるのは素晴らしいとおもいました。また、臨床研究を盛んに行っており指導することができるAttendinngやNeurologyのDepartment専属のアナリストがいたり、保険会社のビッグデータにアクセスして利用できたりするなど臨床研究のための環境が非常に整っていると思いました。また、Residentの診療の時間にも余裕があり、Lectureに参加したり、研究したりする時間も得やすいと思いました。日本で同じレベルの臨床研究を若手から行うには自ら積極的に論文を読んで学んだり、忙しい診療の中でも時間を作る工夫が必要だと思いました。
・今回の研修の成果
前述に挙げた目的のうち2-4については達成できたと思いました。しかし、1や推薦状を得るということは達成できませんでした。原因は色々あり、1つには自分のアピール能力・積極性が足りなかったのがあります。他の要因として、今回のスケジュールでは1人のAttendingと関わる時間が短く、徐々に信頼を得てプレゼンの機会や自分の能力を示すチャンスを得ることは困難でした。また、患者さんに直接問診・診察することが許されないため、患者さんに問診診察をして上級医をプレゼンすることができず、その中でどの様に上級医にアピールするかということは模索しましたが上手い方法を見いだすことができませんでした。自分なりに質問を多くしたり、アメリカでの研修に進むことを検討している旨を伝えたりもしましたが、ストロングなレターを得られそうなコネクションを作ることはできませんでした。今回の反省を活かす機会があるとすれば、もう少しスピード感をもってたとえそのAttendingと働く機会があと1日しかないとしても、Attendingに知り合ったその日にアメリカでResidencyをするために推薦状が書いてほしいと申し出、患者さんに触れない何かしらの方法でプレゼンし評価を得る機会をもらえないか聞いてみると思います。反省や後悔は色々ありますが、もし研修に進むと決めたり何か質問・困ったことがあったら連絡してねと言って下さった先生は何人かいらっしゃり、そういった先生方とのつながりが得られたことが今回の成果の一つであり、今後もその様なつながりを大切にしていきたいと思いました。また、医師として働き始めてから改めて留学したことで学生の時とは違った視点でアメリカの医療、日本との違いを知ることができたことも成果の1つです。制度や設備の違いはありますが、今回留学で感銘を受けたアメリカの医師の様な診療能力、臨床研究を行える能力を身に付けられる様今後もより一層精進してまいりたいと思いました。
選考にあたってお世話になりました先生方、今回の留学をご支援下さった野口医学研究所の木暮様、TJU Japan CenterのYumiko Radi様、Dr. Lau、TJU Neurologyの先生方、選考にあたって推薦を頂きました母校日本医科大学の新田教授、山口教授、また、サポートして下さった家族・友人に深く感謝申し上げます。