報告書
今回、3月の21日から28日までトーマスジェファーソン大学でのワークショップに参加させていただきました。僕は昔アメリカに数年過ごしていたこともあり医学部にはいった頃からアメリカでの臨床留学に興味を持っていました。しかし、具体的にアメリカで行われている医学教育やアメリカの病院の雰囲気などは知りませんでした。実際にアメリカの医療現場を自分の目で見て感じたい、そんな思いから今回のワークショップに参加しました。
ワークショップは金曜日(3月21日)のオリエンテーションから始まりました。ペンシルベニア州の歴史やトーマスジェファーソン大学の歴史や病院についてなど色々なことの概要を教わりました。病院の施設案内やID作成など月曜からのワークショップに向けての準備をしました。この日に初めて一緒に実習を行う医学生のみんなと顔を合わせた。オリエンテーションの一日のおかげで学生のみんなとも打ち解けることができた。みなそれぞれ成し遂げたい目標があり、それらを聞くことで僕自身いい刺激を受けることができた。
実習はレジデントや医学生の後をついて見学させてもらういわゆるシャドーイングという方法が主だった。ED(Emergency Department)、Internal Medicine、Pediatrics、Family Medicineの四つの部署で見学させていただいた。どの部署にも共通で言えるのが教育するということが非常に大きな割合を占めているということだと見ていて感じた。どんなに忙しくてもアテンディングはレジデントにレジデントは医学生に病態や病気についての基礎的な事柄まで質問しまた教えていた。また、医学生は非常に貪欲でレジデントにたくさん質問していた。逆にまったく質問しないと医師は非常に忙しいのであまり教えてくれない。僕もシャドーイング中は積極的に医学生やレジデントに質問した。Family Medicineの実習時は先生に予診をとって患者さんについてプレゼンしてくれと言われ実際に予診を一人でとる機会を頂いた。英語で患者さんの訴えを聞き、それらをうまくまとめて発表するという行為は非常に勉強になり改めて参加してよかったと感じた。また、時間があるときには現地の医学生にマッチングのことや勉強のことについていろいろと聞くことができ有益な情報も手に入れることができた。
また、シャドーイング以外では、レジデントの先生が手術や手技の練習をするのに使用するシミュレーターを実際に操作体験したりした。僕が個人的にこのワークショップで一番楽しかったのが身体診察の講義である。この講義では、実際にTJUの医学生が受けているものに参加するというものであった。教室には模擬患者さんが多数参加しており、数人の学生でその模擬患者さんから所見をとったり診察したりするといったものであった。僕たちも現地の医学生に混ざって一緒に所見をとったり討論したりした。現地の医学生との交流は非常に楽しく有意義なものであった。また、同じ医学生という立場のためか非常に打ち解けやすくお互いの国の医学教育の違いについて話すなど、とても充実していた。
TJUでのワークショップで欠かすことのできないイベントとして挙げなければならないのがJeffHopeである。JeffHopeとはTJUの学生が主体となった団体で医学生のみでなく薬学部の学生や医師、ソーシャルワーカーなど多くの人がかかわっている団体である。JeffHopeでは人数を割り振って色々なシェルターを日によって分けて訪ねてホームレスや病院で診察を受けられない患者さんに医療を提供する。提供する薬には限りがあるため、詳しい検査が必要な患者には病院を紹介したり、相談に乗れる施設を紹介したりしていた。ここでは医学部の1年生が患者さんの診察をして、それを上級生(3・4年生)や医師がチェックしていた。学生が非常に主体的に動いており、違う役割を持つ者同士で連動して動いていた。患者さんの診察時は上級生が1年生にアドバイスをして教育もこの場で行われていた。実際に参加してみて、医療の教育と患者さんの支えを同時に行っている現場にただただ圧倒された。JeffHopeに参加することができ、チームの一員として動くという体験ができて非常によかった。
この1週間は本当にあっという間でどの実習内容も濃いものであった。僕自身ここまで有意義な時間が過ごせるとは思っていなかったため参加してよかったと思った。それに加えて、自分も将来アメリカで教育をうけてみたいという気持ちがさらに強くなった。また、ともに参加した医学生のみんなも個性的でモチベーションの高い人が多く彼らとこうして出会い刺激しあえたことも今後の自分の財産になると思う。
今回の実習は多くの人のご厚意や努力によって上手くいったと感じています。浅野先生をはじめ、野口医学研究所の皆さんには大変感謝しています。またYumiko Radiさん、ステロラさんをはじめ現地のスタッフ、学生、医師の先生方にも心から感謝しています。この経験は自分の人生の大きな分岐点となり、参加して本当に良かったです。