米国財団法人野口医学研究所

トーマス・ジェファーソン大学病院での研修レポート

聖マリアンナ医科大学 救急医学 助教 聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 救命救急センター木村信彦

2019年4月米国トーマス・ジェファーソン大学

この度、米国財団法人野口医学研究所にご支援をいただき、トマスジェファーソン大学での3週間の研修の機会をいただきました。

 

沖縄米国海軍病院での経験がありましたので英語圏での診療環境についてゼロからのスタートではありませんでしたが、1週間目のMICU、2週目の内科病棟のはじめは会話スピードと略語の多さに苦労しました。ですが、2週目の途中くらいからは、フレンドリーな内科のチームメンバーに恵まれたこともあり、だいたいチームの全ての患者さんの日々のTo doを理解できる程度になり、毎朝病棟に行くのが楽しくなりました。

 

まだまだ、米国の医療制度への理解が乏しくCase managementの部分の会話にはついていけない部分もありましたし、「診療の流れを理解できる」というレベルと「知識や意見を発信できる」英語のレベルには乖離があることも痛感しました。また医学部3年生から毎日患者さんを診察し、朝プレゼンテーションしフィードバックを受けているアメリカの医学生と同じ土俵で戦うことの厳しさも感じることができました。

 

電子カルテへのアクセスがなく、基本的に患者さんに触れてはいけないという制約から、患者さんのプレゼンテーションは結局できませんでしたが、その代わり、回診で話題になったトピックなどをUp To Dateや論文で調べてレジデントにメールで送ったりと自分なりにhelpfulになるよう苦心し、最終日にSeptic cardiomyopathyについてChestの最新のレビューをまとめ、パワーポイントで内科チーム全員の前でプレゼンテーションする機会をいただきました。

 

内科レジデンシーのマッチングへの厳しさを痛感できたという意味でも有意義でしたし、また早朝から患者さん全員を回り、指導医との回診までにTo doをまとめている非常に優秀なインターンとレジデントのハードワークにも感心しました。金曜午後にはレジデントの先生が医学生に時間を作り個別にフィードバックをするなど、忙しい中でも医学生への教育を忘れない彼らのメンタリティーに触れ、普段の私の日本での姿勢を見つめ直す良い機会にもなりました。

 

最後になりますが、このような機会を与えてくださった野口医学研究所の皆様、研修を受け入れてくださったトマスジェファーソン大学の皆様に心から感謝を申し上げます。誠にありがとうこございました。