さらなる挑戦に向けて-Hawaii 研修-
家庭医、内科での研修生活を無事に終え、沢山ある貴重な体験の中から幾つか を掻い摘んでご報告致します。
Dr. Tokeshi’s Clinic AKA Dojo
最初は渡慶次先生の元で研修を始めました。内容として大きくクリニック、病 棟と老人ホームに分かれますが、Primary Care Physician (PCP)として病院と ホームに出入りする権限があるのは数多くおられる先生の中でも渡慶次先生の みのようで、同時期に双方の医療に携わり、さらにクリニックまで見学させて いただけた事は、本当に貴重な経験であると感じました。この全ての患者さん を診る為には、先代の門下生の先生のご報告からもあるように、丑三つ時から 一日が始まるのはある意味、納得できる事でした。40 年に渡る長い月日が経っ ても、この体制を保たれておられる渡慶次先生の情熱に敬意を覚え、また同時 に、研修中の朝の早さや疲れに負けないぐらいの意欲が自分自身に生まれ、新 たな発見にも繋がりました。 長年渡慶次先生の所に受診している患者さんの、幾つかある共通点の一つには、 渡慶次先生への強い信頼、安心感が存在していました。その一つには患者さん の社会歴について深く学び、また共感することでした。私自身もこれを実践す る事で、患者さんとの距離が短くなり、少しだけ心を委ねて頂けるきっかけに なったと感じました。PCP として患者さんを一生見てゆくには、ただ医学的な 治療に繋がる問診や検査をするだけではなく、患者さんの歴史を知ることが人 を看る医師の役目であると改めて感じました。 先生の多岐に渡る歴史への知識は、それぞれの時代に生まれた歴史と現在とを 繋ぐツールであり、患者さんをより深く知ることは、患者さん自身をも敬うこ とに相応するのだと学び、感銘を受けました。武道に学ぶブレのない志を追求 する精神力と強い忍耐力、茶道に学ぶ一期一会の嗜み、他にも一言では語れな い先生の懐の深さは、毎日関わる患者さん、病院・クリニックのスタッフ、門 下生を魅了し続け、先生の今の御高名に至るのだと理解しました。手のかかる 私を諦めずにご指導下さり、毎日感謝の気持ちで精一杯頑張り、気づけばあっ という間に道場終了となりました。
Kuakini Medical Center
まだまだ暖かい 11 月2週目に、3週間の内科研修が始まりました。4 チームある内科の B team(Upper Level(UL): Dr. Wirunsawanya, Resident-1(R-1): Dr. Kaneshiro, 3rd year Medical Student: Leimomi Kanagusuku)に加わり、初日 は Chief resident の Dr. Nishal Brahmbhatt のオリエンテーションから始まり ました。Dr. Brahmbhatt よりカンファレンスで積極的に発言してゆく事や、カ ンファレンスや症例検討会で発表する事がアピールに繋がるとアドバイスを受 け、研修中はそれらを常に意識して取り組みました。 アカデミックな側面としましては、週 2 回の Morning Report や週1回の EBM に Dr. Ken Sumida が参加してくださり、case presentation の模範的な流れを 体験したり、一歩踏み込んだ Discussion に参加し大変勉強になりました。他に は週一回の循環器、神経内科のカンファレンスもありました。 具体的な業務内容を学ぶ上で、幾つかの回診が設けられています。毎朝の ICU ラウンドでは、プレゼンテーションをするレジデントに随時ICU attendingが feedback する形をとっており、治療方針の立て方、臨床力を高める為の想像力、 また評価能力が鍛えられるように感じました。各チームの UL と R−1により回 診の仕方は異なりますが、週一回の B team attending round (Dr. Nakamoto) の他、当チームでは1日数回チーム内での情報交換の時間を設けられていまし た。患者さんの情報や治療方針、学習ポイントなどはこの機会に理解でき、と ても有意義な時間でした。 もう一点今回の研修で有意義であった点は、医学生との交流の時間です。ロー テーションしている3年目の学生さんは結束が強く行動力があり、また observer として参加している私たちにもとても親切に対応してくれました。医 学生のプレゼンテーションを練習する為のセッションや各持ち患者さんの身体 診察のセッションなどにも積極的に参加させて頂きました。
今回渡慶次先生の道場と内科にて、米国での臨床研修を体験し、具体的な米国 の業務内容などを実感する事で、根本的な医師としての姿勢、将来の目標につ いてより明確なものとなりました。医師6年目で改めて自分の立ち位置を振り 返り、この経験からまた step up すべく、精進していきたいと思います。
Dr. Little’s Session
ゲストの先生が4回中2回来て下さいました。その時 observation にいらしてい る他の先生も集まり、毎回デザートを食べながら、各プレゼンテーションを2人の先生に評価して頂きました。基本的な英語の発音の練習時間です。お年を 召されており、のんびりとしたセッションでしたが、私の以前の職場の上司も 含め、今まで数多くの先生や学生が Little 先生にお世話になったと思うと、頭 が上がらず、今後も是非このセッションを続けて頂ければと思います。
謝辞
最後に、この素晴らしい機会を与えてくださいました野口医学研究所の皆様、 渡慶次先生、Kuakini 病院の Sumida 先生、ハワイ大学の Izutsu 先生、Little 先生と関係者の皆様、他この研修でお世話になりました皆様にこの場を借りて 深く御礼申し上げます。快く見送って下さいました勤務先の皆様、そして私の 医師としての人生を暖かく見守ってくれている家族にも感謝致します。