トーマスジェファーソン大学での研修報告書
この度, 私はThomas Jefferson University HospitalでInternal Medicineのexternshipをさせていただきました. Thomas Jefferson University はPennsylvania州Philadelphia の中心部に位置する900床規模の総合病院で私はそこのInternal medicineのGreen 3というチームに配属させて頂きました.
Green 3はAttending 1人, Resident 1人, Intern 1人, 他科から研修に来ていたPyschiatry-resident 1人, 3rd-yearのMedical student 2人というチーム構成で, 概ね10人~15人の患者を受け持っており, 毎日1-2人程度の新入院患者がいる状況でした. いわゆる総合内科として患者を担当しており, 入院患者の内訳としては肺炎, 尿路感染, 感染性心内膜炎, HIV関連合併症, 薬物中毒などの患者が最も多かったですが, ERから依頼のある原因不明の貧血や発熱, 意識障害などの未診断の症例も担当していました.
ResidentとInternが日本でいう内科専攻医の役割を担っており, 全ての入院患者を2人でsuperviseしていました. Medical studentが日本でいう初期研修医の役割で担当患者のプレゼンや診察などの役割を主に担っていました. Attendingは日本でいう主治医ですが, 実際に担当医として診療に関わることはほとんどなく, 教育的な役割や方針確認のみを担っていました.
1日の流れとしては朝8時半~9時頃にAttendingが合流するのでそこでまずは新入院患者のラウンドを行います. ベッドサイドにてフルプレゼンテーション+詳細な身体診察+病態のディスカッション+方針決定まで行うので, 1例に1時間以上かけることも稀ではなく, 米国医療のベッドサイドラーニング中心の臨床指導を重要視する教育内容に深く感銘を受けました. 新入院患者以外で安定している患者は簡単にラウンドしながらその日の方針や状況を共有しておりましたが, 回診の度にプレゼンとディスカッションが行われるので、概ね午前中一杯は回診で終了しました.
電子カルテへのアクセス権がなく, 回診だけでは患者把握が難しかったので, 途中からResidentにお願いしてPatient note(by problem方式)を全患者印刷して頂き, それを持って回診やディスカッションに参加していました.
午後はNoon conferenceというInternとResident向けの教育的なレクチャーが開催されていたのでそれに参加させて頂いたり, 現地の先生のお力を借りてOncologyやIntestinal pneumonia のOut patients clinic, 気管支鏡, ICU, Pulmonary fellowのコンサルトなどを見学させて頂いたりしながら比較的ゆったりと過ごしていました.
週末は特にdutyはありませんでしたので, New York CityやWashington D.C.まで足を延ばしてTimes square, Broadway musical, White House, Major leagueなども観光させて頂き, 研修以外の米国旅行も楽しませて頂きました.
滞在中の研修環境は非常に良く, 大学内の寮や図書館, ジムなどの施設を制限なく使用することが出来たので快適でした. 治安はそこまで悪いとは感じませんでしたが, 近くで銃撃事件なども起きており, 日没後や人が集まる場所では注意が必要かと思われます.
世界中から優秀でハングリーな医学生と医師が集まる米国の環境はとても刺激的で普段の自分の臨床姿勢やキャリアを見直す良い機会となりました. また日米の医療制度の違いもしっかりと感じることができ, 双方のメリットとデメリットを深く体感する良い機会ともなりました. コロナ禍と家族の事情が重なり, 渡米する2カ月前に突然研修が決定した私のexternshipでしたが, 思い切って参加して非常に良かったと感じています.
最後にこのような機会を与えて下さった野口医学研究所の皆様, 研修を受け入れて下さった大学やチームの皆様, また現地でサポートした下さったJapan CenterのNakamuraさん, 現地で活躍され様々な見学の機会や情報を提供して下さった日本人Drの方々に心から感謝を申し上げます. ありがとうございました.