米国財団法人野口医学研究所

プログラムを通じて学んだこと、気づいたこと

北京大学医学部6年李陽仙

2022年3月オンライン開催

研修レポート『プログラムを通じて学んだこと、気づいたこと』

2022329日から331日の3日間、Thomas Jefferson University (TJU)Clinical Clerkship(Virtual)に参加させていただきました。
 3日間で全14セッションあり、マッチング、Grand Round、医学教育、JeffHOPEBedside diagnosisなどについて幅広く触れることが出来ました。
 アメリカでのマッチングについては、CV, PSの書き方、面接までのstrategy、面接でのポイントなどを、実際にマッチングをご担当されている先生が採用者の視点で説明してくださったので大変具体的で分かりやすかったです。レジデントの後のキャリアプランについては、TJUの医学生やレジデントの先生とのセッションで聞くことができました。また、セッションではアメリカで医療に携わっている先生だけでなく、アメリカで研修をされて現在は日本で医療に携わっている先生のお話も聞けたので、今まで知らなかったキャリパスもあり今後の選択肢が広がったと思います。
TJU医学生との交流セッションでは、病院実習が始まってからの日々のスケジュールや病院での役割、研究内容、コロナ禍で実習中止時期の勉強方法に至るまで色々話すことが出来ました。私は中国の病院と日本の病院で病院実習を経験したため、アメリカの病院実習の話を聞けるのをとても楽しみにしていました。私のグループの学生は、学生時代で最も辛かったのが病院実習だと言って、仕事内容、ドクターからの要求、大変な時にどのように対処したかなどの経験を共有してくれました。
 医学部生の医学教育については、日本とアメリカの大きな違いの一つにカリキュラムの順序の違いが挙げられると思います。日本では、解剖や生化学などの基礎医学を勉強してから系統別に勉強していくのが主流ですが、
TJUでは最初から系統別に勉強し、その中に基礎医学も盛り込んでいく方法を取っています。各系統を約2週間で終えなくてはならないので大変ではありますが、早い段階から臨床に近い勉強ができるメリットがあると言います。この点については個人的に大変納得する点があり、今後私のUSMLE STEPの勉強の際に取り入れられるアイディアだと思います。

本プログラムでは3日間では消化しきれないほど、大変多くの事を学ばせていただきました。現地との時差の関係上、研修は主に午前と夜に行われました。午前のセッション終了後は、参加者とZoomを繋ぎ、ランチをしながら感想や意見交換などを行うことが出来たのもとても有意義でした。
今回はオンラインでの実施となりましたが、本プログラムを検討している方がいましたら是非お勧めしたいです。選考会から始まり、この3日間の研修もとても充実しており楽しく学ぶことができました。
今回のプログラムの準備、運営に携わってくださいました先生方、スタッフの皆様に心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

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Professionalism と Compassion について何を学び、
その学びを将来へどのように生かすことができるのか


医師にとってProfessionalismCompassionは両方とも必要な属性です。Professionalismとは、専門家として医学的知識、責任感、誠実さがあり、継続的な勉強、チーム医療を行えることで、Compassionは患者さんに思いやりを持って寄り添うことのできることだと思います。この二つが揃って信頼の得られる医師になれるのだと思います。

私はProfessionalismがより重要であり、患者への過度な思いやりや介入は控えなければいけないと思っていたところがありました。大学の試験期間中に、同期たちと緊張を和らげるために”You will be okay”と言い合い、「”Okay”な医師に診て欲しい患者さんはいないよね、せめてGreatBestな医師じゃないと命預けられないよ」と冗談まじりに会話していました。この時のGreat とは知識やスキルアップの向上を指して言っていたのだと思います。学校で習う、医師と患者のコミュニケーションの重要性なども、疾患の治療を念頭において勉強していたかもしれません。

今回のプログラムを通して、Compassionをもって診る重要性を学んだように思います。Dr. Joseph Majdanのセッションでは、” See the humanity first, not the disease first” と仰っていたのが印象的でした。一つの例ですが、JeffHOPEではホームレスの人が訪れると、どこが具合悪いのか聞かずに、代わりに “What happened to you?” と聞くと言っていました。この質問こそ、その人を尊重して寄り添うと言うことで、“See the humanity”に繋がるものだと思いました。

先に疾患に集中してしまうと、治療方針の選択肢を検討するようになりますが、思いやりや洞察力をもって診ることにより、視野が広がり、その患者の状況や問題へのアプローチ方法が変わるように思います。取り組む中で助けが必要な場合は、他のコメディカルスタッフ、コミュニティや支援サービスの活用、さらには必要なサービスの新規構築など、アプローチ方法の選択肢が広がるよう思います。国や文化が変われば患者と医師の関係性、相互に期待することも変わってくると思います。しかし、どこで医療に携わっても、患者さんと真摯に向き合うことのできる医師になりたいです。