Humanity & Empathy in Medicine
逆境をバネに、世界を駆け抜けた日本人医学者・野口英世――。
野口英世は1歳半のときに左手に大やけどを負い、その手術をきっかけに医学のすばらしさに目覚め、医学者の道を志します。
貧しい寒村の生まれでしたが多くの人々の支援を受け、単身渡米。恵まれない環境をものともせず、不眠不休のすさまじい努力で研究に没頭し、細菌学者として名声を高めていきます。アフリカで黄熱病の研究途中、自身も感染して51歳の若さで亡くなるまで、世界の医学・医療の発展のために情熱を燃やし続けました。
その業績を記念し、1983年、野口英世ゆかりのペンシルベニア大学が拠点を構えるフィラデルフィアに、米国財団法人 野口医学研究所を設立。第二・第三の野口英世を誕生させるべく、私たちの挑戦は始まりました。
医師は医師であるというだけで、人々から畏敬の念をもたれます。
医学界にはびこる権威主義、欧米に大きく遅れをとる医学・医療。そうした状況に危惧を抱き、まず私たちが変えようとしたのは、医師のあり方そのものです。
目指したのは、“患者優先の医療”。
医学知識や技術の習得のみならず、一人の人間として患者に敬意を払い、接すること。アートが理解できる豊かな感性で患者の痛みや苦しみに共感し、思いやりをもって心に寄り添うこと。そうした人間性を医師は忘れてはなりません。
「私を信じ、私にあなたを治させてください」と心からいえる医師を一人でも多く育成する為に、患者優先の医療を実践するアメリカへの留学を支援。最先端の医学と真の医療人に必要な心を学べる環境づくりをサポートしています。
これからの時代に求められること。
それは、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、各セラピスト、医療ソーシャルワーカーが平等な立場で協働できるチーム医療の普及。そして、スペシャリストであると同時に、どんな状況でも対応できるジェネラリスト・ドクターの育成です。
これらの実現を目指し、私たち米国財団法人 野口医学研究所では、教育システムや研修プログラムの開発、シンポジウムやセミナー、ワークショップの開催などにも力を注いでいます。
日本中に“患者優先の医療”、“Humanity & Empathy in Medicine”の精神を根づかせながら、医療現場の環境と雰囲気を変えていくこと。そこから、日本の医療の未来が切り拓かれていくと信じて、私たちはこれからも活動を続けていきます。